「未完成」は未完成にあらず、「グレート」は・・・えーと

とんでもなく久しぶりにサントリーホールに出かけ来た。聞いたのは上岡敏之指揮の東京フィルハーモニーで、演目はシューベルトの「未完成」と「グレート」である。

その日はたまたま赤坂近辺に出かけていて、夕方早めの時間帯に用事が片付いたので、ふと思いついて散歩がてらサントリーホールまで歩き、そこでそのままふらふらと当日券(A席6,000円なり)を購入しての観賞であった。

というわけで予備知識ゼロだったんであるが、指揮の上岡敏之はどうやら最近(?)人気の指揮者らしく、お客さんの観賞姿勢がとっても前のめり(笑) 演奏自体はなかなか面白かったが、「未完成」でも「グレート」でも、それぞれにブラボーが飛ぶ大喝采。「グレート」の時はスタンディングで拍手してる人たち(みんな女性)もいたし、なんとも素敵な盛り上がりでありました。

で、演奏だけれど、「未完成」ってこんなに長かったのか!が第一印象(←こら) あ、でも冗長という意味ではなく、内容が濃くてスケールが大きいという意味ね(苦) わずか2楽章でもういっぱいいっぱいという感じで、題名は「未完成」だけど、異形の二楽章交響曲ってことでオッケーと改めて思ったのであった。なんせ暗いし。

一方の「グレート」は、これはまさに個性的と言って宜しかろう。びっくりするほど明るい曲になっていて、こんな曲に「グレート」と名付けるのは、まさしく名前負けと思わせられる演奏。いや、褒めてますよ、もちろん。シューベルトだって、いつでも暗くて深刻なわけないしねぇ。プログラムの曲解説によると、若い時分に楽しい旅行をした思い出が詰まった曲・・・だそうだし。とはいえ、全曲エンディングのディミヌエンド処理にはびっくり。「えー、あれで終わりにしちゃうの?」みたいな肩すかし感であったけれど、あれを若きシューベルトの茶目っ気と捉えるか、はたまた指揮者の思わせぶりな解釈と取るかは意見の分かれるところかも。ちなみに僕個人はオールドファッションな人間なので、エンディングはオーソドックスにどかーんと終わって欲しかった派である。

それにしても、あんなにじっくり「未完成」を聴いた(聴かせられた)のは実に久しぶり。やっぱりたまにはコンサートに出かけて生演奏を聴かなくちゃいけないな、と思い知らされたのであった。

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噂のドゥダメル

えーと、iioさん@CLASSICAでその名を目にして以来、なんとなく気にはなっていた指揮者、グスターボ・ドゥダメルの来日公演がNHKで放映されたので、録画にて鑑賞してみた。

この公演の興奮度は、さとなお氏@「明日の広告」が熱狂度MAXで記事にしてくれていて、それを読んでようやくこの放送に気づいた次第。放送時間が夜遅かったので、録画しておいて先ほどようやく見終えたのだが…

颯爽と登場した噂のドゥダメルだったんだが、うわ、若いな、おい(1981年生まれの28歳だって)。おまけにこのルックス、サッカー選手にしたほうが似合いそうでないかい? ガムでも噛みながら指揮したりとか(笑)

とか思ってるうちに演奏が始まったんだが、うわー、なんだこれ、すげー、おもしれー(壊) 最初の「ダフニスとクロエ」の終盤の盛り上がりもすごかったが、注目はやはりメインのチャイコフスキー「交響曲第5番」。鬱々と始まった曲が終楽章のマーチに至るや、なんかすっかり別の曲になってしまっている(笑) いやぁ、いいのかなー、これで。いいんだろう、きっと。うんうん。

でもって、サプライズはアンコールに待っていた。バーンスタイン「ウェストサイドストーリー」から「マンボ」、そしてヒナステラ(誰だ、それ?)の「エスタンシア」から「マランボ」(という曲らしい)の2曲。どちらも大盛り上がりで、なんか既にクラシックコンサートではない。うーん、いいなー、あの会場にいた人たち。家でテレビ見ててさえ、キメの「マンボ!」とか一緒に叫んじゃったしなー。あれだけノリノリで演奏してても、全然アンサンブルが破綻してないのがものすごい。いやはや、録画でこれだけ楽しめるとは。

ところが翌日知ったのだが、この来日公演の放送の後に、同じくドゥダメルが振った「ワルトビューネ・コンサート」なる野外コンサートも放送されたらしい。ぎゃー、しまった、こっちは録画予約してなかった(号泣) こっちのほうはヨーコさん@LA DOLCE VITAがご覧になったようで、壊れ気味に(笑)感想書いてくれてます。

うむ、これは是非ともドゥダメル聴かねば!!

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BOXセットの誘惑

DHM 50TH Anniversary Box/Various (Box)

巷で話題の「DHM 50TH Anniversary Box」であるが、タワーレコード店頭で現物を見つけ、5,390円という値段に打ちのめされつつ即購入してしまった。(上の画像リンクはAmazonであるが、お値段は1万円前後なのでご注意を)

それにしてもどうすんだ、50枚。一日一枚聴いても50日、二日に一枚ペースなら100日、三日に一ま(←いい加減にせい) それより何より、普段古楽なんてそんな熱心に聴いてないし(おい)

しっかし最近のBOXモノは内容・値段ともに充実していて、お買い得感がやたらと高く感じる。上記DHM BOXの一枚あたり単価が100円ちょっとってのは極端にしても、単価500円前後のものならフツーに転がってるんじゃあるまいか。一枚モノのCDが2,000円とか、国内盤新譜CDが2,800円とか、なんかものすごい高級品に感じてしまって、買うのにすごく勇気がいる。

こうなってくると、iioさんが「日経パソコンオンライン」でのコラムで書いてる通り、「レーベル横断的な定額音楽配信サービス」が開始されるのを待つばかりというのが、今日的なクラヲタ界の状況なんであろうか。

とはいえ、やっぱりオールドファッションな自分としては、「所有する喜び」みたいなものは否定しきれない。DHM BOXのCD50枚分の重量感、なかなかにできの良い外箱と、そこにぎっしり詰め込まれた50枚の紙ケースが与える視覚的な満足感というのは、少なくとも僕の世代ぐらいまでには有効だと思う。やっぱCD(かつてのLPも)は、棚に並べてナンボですよ。

でもまあやっぱり、時代の流れは定額制のオンデマンド配信へと向かうのだろう。定額サービスがあって、自宅に大容量のミュージックサーバがあって、さらにはデジタル音源の良質な再生装置があれば、それで満足できる世代が登場するのは間違いないだろう。

BOXセットの乱発と乱売は、一種の在庫整理(あるいは棚卸し)みたいなものなんだろうか。買う側、そして聴く側としては、ありがたく高コストパフォーマンスのBOXを買わせてもらうのが正解だと思うことにしたい。

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プーランクを聴く

「熱狂の日」に触発されて、おフランスの音楽を…というわけではなくて、そのもうちょっと前の春先に、プーランクを聴いていた。

Poulenc

EMIの輸入盤で、「ピアノ曲集」と「室内曲集」それぞれ2枚組を買って聴いていたのだが、同じ音源を4枚組にまとめたセットが、Brilliantから出ている。(上の画像参照。リンク先はHMV。AmazonではこのCDは見つけられなかった) 4枚組で2千円前後だし、このセットでピアノ曲と室内楽曲がほぼ揃うようなので、なかなかにお買い得であろう。

室内楽集のほうには、ヤキトリオ@のだめでお馴染みの「ピアノ、オーボエ、バソンのためのソナタ」も入っているが、ぼけーっと始まった音楽が、すぐに賑やかなアンサンブルになる冒頭が楽しい。ああ、ヤキトリオの実演が聴いてみたい(笑)

ピアノ曲集のほうも、軽妙洒脱というか、オサレ感漂う曲が多いのだが、飛び抜けて有名なのは「エディット・ピアフに捧ぐ」だろうか。田部京子「ロマンス」にもこの曲が収録されているが、あちらはしっとり、しみじみとした演奏。こちらのタッキーノの演奏は、やや早めのテンポを揺らがせつつ、いかにもシャンソン風の「語り」の雰囲気に溢れている。さすが本場、と言っておこう。

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ミヨーを聴く

うう、このタイトルで記事を書くのは久しぶりかも。なんせ年末からこのかた、昨年山ほど買った箱物CDの消化に勤しんでたりして、なんというか、全然きちんと「音楽」を聴いてない状態だったのだ。とまあ、そんなセルフ言い訳はともかく、ミヨーである。

吉田秀和「LP300選」でのミヨーの推薦曲は、劇音楽(オペラ?)「クリストフ・コロンブ」なのだが、こちらはCDが見つけ出せなかったので、次点にして恐らく彼の曲としては最も有名な「世界の創造」を聴いてみた。CDはいくつか出ているのだが、有名どころを網羅しているっぽいNaxosの一枚を買ってみた。(HMVはこちら、Amazonでは情報が少なすぎるのだが、恐らくこちら

冒頭の「世界の創造」にまずびっくり。ビッグバンド・ジャズに触発されたという、管楽器主体の小編成バンドによる音楽は、どことなく安っぽくてもの悲しい。が、曲が進むにつれ、曲に暖かみが生まれ、賑やかに楽しく変化し、そして仲むつまじい雰囲気でエンディングを迎える。なるほど、瀟洒にして才気溢れる曲である。

以下、ラテンテイストたっぷりの楽しい「屋根の上の牡牛」、カントリーテイスト溢れる「プロヴァンス組曲」と続き、最後は歌詞のない四人の歌手とオーケストラによるバレエ音楽「男とその欲望」という構成になっている。

「男とその欲望」は、話の筋というかテキストが分からずに音楽だけ聴いていると、少々難解かつ退屈ではあるのだが、それ以外の曲はただ聴いてるだけでも、充分に楽しめる。ミヨー、いいんじゃないでしょか。

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「wish」~亡き歌姫のための

wish(DVD付)

2005年11月に他界した歌手・本田美奈子が書き残した歌詞をもとに、彼女の音楽活動に積極的に関わっていた井上鑑が中心となって作り上げた曲。このパッケージには、CDにメイン曲「wish」とそのクラシカル・アレンジ「requiem~wish~」、DVDに井上鑑の呼びかけクリップと、「wish」収録シーンが収められている。

「wish」自体は、ゴスペル調のストレートな楽曲で、井上鑑の手になるアレンジもストレート。ある意味平凡な仕上がりの曲ではあるが、しみじみと心に沁みる歌詞と、曲の途中から参加している福山雅治のヴォーカルが印象的。もう一曲、同じ「wish」のクラシカル・アレンジ版「requiem」は、室内楽的な構成に違和感なく尺八が加わり、なんとも美しいインストゥルメンタルとなっている。

派手さは無いが、ついつい繰り返し聴いてしまう一枚である。

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「田部京子 / ロマンス」

ロマンス~ピアノ小品集

プレイアデス舞曲集」でのあまりに美しい演奏で、ずっと気になっていたピアニスト・田部京子の一枚が、良質の廉価CDシリーズ<クレスト1000>でリリースされたので購入。(ちなみにHMVでは、2枚買うと20%オフセール中である)

収録されたのは「月の光」や「亡き王女のためのパヴァーヌ」といった有名曲から、ボロディンやムソルグスキーのマイナーな小曲まで、全部で15曲。アルバムタイトル通り、いずれもしっとりとしたロマンティックな曲ばかりである。ただ、ここでの田部京子の演奏は、大げさな身振りでロマンスを歌い上げるというよりも、穏やかに控えめに、それぞれの曲の魅力を伝えようとしている感じ。「プレイアデス舞曲集」で感心した、繊細で美しいピアノの響きが、ここでも聴けるのに大満足である。

耳当たりの良い静かなアルバムではあるが、BGMとしてだけ聴くのは、あまりにもったいない。このところ、毎晩寝る前に数曲ずつ楽しんでいる。オススメの一枚。

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「ラフマのピアコン」

例によって録画で見たのだが、TVドラマ版「のだめ」も、早Lesson 6終了。恐らく全10話と思われるので、残りは4回かー。ここまで見ている限りだと、原作エピソードのつぎはぎ具合も巧妙だし、最後まで楽しく見られそうである。

さて、前回と今回のメイン曲はラフマニノフのピアノ協奏曲第2番。劇中(原作でも)、音大生が「ラフマのピアコン」とか言ってたけど、そう略すものなの? 「ラフマ」なんて初めて聞いたぞ。

で、その「ラフマのピアコン」だが、Lesson 6で登場した2台ピアノ版、Amazonで探してみたら楽譜を発見。CDはドラマのサントラ盤以外では見つからなかったのだが、たぶんもっとコアなファンブログで紹介されていると思うので、そちらを参照のこと(こらこら)

通常のピアノ&オーケストラ版だが、ちょっと前に買ったエレーヌ・グリモーの5枚組ボックスセット(リンク先のAmazonだと3,600円前後だが、HMVやTowerの店頭では2,500円ぐらいだと思う)にこの協奏曲が入っていたので、こちらを何回か鑑賞。グリモーがまだ10代の頃の録音らしいが、若々しくバリバリ弾く姿が爽快。ミルヒーの言う「クネクネ」は全然無いっすね(笑)

もうひとつ、アシュケナージとプレヴィンのも聴き直してみたんだが、うわー、こんないい演奏だったとは思わなかった。なんというか、ロマンも情緒もロシアの香りもお色気もてんこ盛りである(褒めてます)  やっぱこのぐらい濃いほうが、この曲には合うような気がする。ごめんよ、エレーヌ。

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第1~4番
↑アシュケナージとプレヴィンによる全集。おすすめ。

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「のだめ」Lesson4~エロイカなベト7

録画してあった「のだめ」第4回(Lesson4)をようやく見る。うーん、やはりどう考えても、録画してまで見るのは(以下略)

で、Sオケ&指揮者・千秋のデビューとなった「ベト7」であるが、原作では「エロイカ」。コンマス・峰発案のジミヘン弾き(?)は、第2楽章の葬送行進曲で出てくるので、実写でもエロイカを期待したのだが、うん、7番も悪くないぞ、全然。なんせドラマのテーマ曲だし。

こうやって見てみると、原作を尊重しつつ、ドラマはドラマでうまく話の流れをアレンジしているのがわかる。さすがにキー局の月9ってのは、力の入れ方が違うな。

さっきAmazonのミュージックカテゴリ(クラシック)を見てみたら、ベストセラーがほとんど「のだめ」関連になっているのに唖然。影響力あり過ぎである。ライトな「のだめ」ファンであれば、12月発売予定の「のだめカンタービレ ベスト100 (通常盤)」あたりがお得な選択っぽいが、クラヲタな方々としては、各自のオリジナルセレクションを作成するのが基本だろう。

ヲタの辺境にいる(ような気がする)自分としては、とりあえず所有している7番をセルフチェック:

クライバー/ウィーン・フィル
朝比奈/日本フィル(全集)
ノリントン/ロンドン・クラシカル・プレーヤーズ(全集)
ベーム/ウィーン・フィル(所有しているのはLP)

7番といえばやっぱりクライバーかなぁ、と思いはするが、ノリントンのハジケっぷりもSオケノリで、結構好きである。オリジナルセレクションに加えるとすれば、これかも←かなり本気

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大木正夫を聴く

Hiroshima_1

大木正夫:交響曲第5番「ヒロシマ」」(Naxosのサイトはこちら

吉松隆のblogで知って以来、いつか聴いてみようと思っていたCDを、ようやく鑑賞。実のところ、CD自体は7月初旬に購入していて、8月中には聴こうと思っていたのだが、いざとなるとなかなか聴く勇気が湧かず、10月も終わろうかという頃、思い切って聴くに至ったのであった。

感想・・・と言っても、上記吉松隆の記事に特に付け加えるようなことも無いのだが、それにしても余りに辛い音楽。戦争、そして核兵器の災厄の後には、何の希望も救済も残されないということが、恐ろしいほど見事に音化されている。

何度も繰り返して聴こうとは決して思えない曲ではあるが、少しでも気になるのであれば、一聴の価値はある。というより、こういう曲を「聴かせるべき」連中というのが、あっちにもこっちにもいるのではないか、などと感じる昨今ではある。

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先日観た「父親たちの星条旗」に、いい台詞が出てきた:

「戦争を知っているという馬鹿な奴に限って戦場を知らない」

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