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2009年7月

「ローマ人の物語:危機と克服」~折り返し点通過

一年ちょっと前から読み始めた塩野七生「ローマ人の物語」(文庫版)であるが、一月おきぐらいに単行本一巻相当分くらいを読み進めてきて、昨日「危機と克服」(上中下)を読み終えた。

ローマ人の物語〈21〉危機と克服〈上〉 (新潮文庫)

単行本は既に完結していて、番外編というか後日談である「ローマ亡き後の地中海世界」を除くと、全15巻という構成になっている。文庫版では単行本各巻を2~3分冊にして発刊しているので、トータル42、3冊ぐらいになるんだろうか。(単行本はまだ3巻ほど未文庫化である) 今回読了した「危機と克服」は単行本では第8巻にあたるので、ちょうど折り返し点にあたるわけである。

前巻の「悪名高き皇帝たち」 (新潮文庫)ではネロとかカリグラ(カリギュラ)とか、まさに悪名高い皇帝たちが描かれていたが、本作ではその後ころころと帝位を譲り渡した愚帝というかジミ帝(笑)諸兄が描かれている。

相変わらずの塩野節というか、あちこちに著者のツッコミが出てきて面白いのだが、「カエサルLove」の彼女に二言目には「カエサルはああだった、カエサルはこうした。それに比べて…」と言われては、天上(あるいは地下)の歴代皇帝達もさぞかし面白くないことだろう。

それはともかく、まさしくカエサル以後、文字通りの世界帝国として君臨したローマが、共和制ではなく帝政こそがその強大な版図の統治に相応しいと自らが選び、たとえ愚帝を戴いた時期があったにせよ、帝国そのものの根本が揺らがなかったというのは驚嘆すべき史実であろう。人類は過去二千年で、いったいどれくらい進歩したというのだろう?

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フランク・マコート死去

フランク・マコートが亡くなった

リンク先の記事にある通り、本人の自伝的小説「アンジェラの灰」でピューリッツァー賞を受賞した作家である。

この本、前から読んでみようと思っていたのだが、いつの間にやらハードカバー版も文庫版も絶版になってしまっていた。それがつい数ヶ月前、ぶらりと寄ったブックオフで文庫版を見つけたので即購入、読了したのである。

アンジェラの灰 (上) (新潮文庫)

(上の画像は文庫版上巻、ただし現在は絶版)

貧しいアイルランド人一家の物語なんだが、その貧しさたるやまさしく半端ではない。父親は飲んだくれで定職も無く、たまに日銭が入れば家に帰る前に酒代に化けてしまう。母親は文句を言うばかりで生活力が無く、おまけにカトリックの夫婦ゆえ、気がつけば子どもが増えていき、さらにその子どもらがあっさりと天に召されていく。

どこからどう見ても悲惨な生活なのだが、それでもフランク少年の毎日は輝いていた。飲んだくれの父親が口ずさむアイルランドの歌を愛し、あちこちで出会うたいてはろくでもない大人たちから常に何かを学び取り、毎日を懸命に生きていく。それは彼が常にユーモアのセンスを失わないからであり、そのキャラクターがそのまま文章となって、読者を泣き笑いさせながら上下巻を一気に読ませてしまうのだ。

こんな名作が絶版とは惜しい限りだ。続編の「アンジェラの祈り」はハードカバー版のみが出版されているが、こちらも既に絶版っぽいから、おそらく文庫化も難しかろう。ブックオフで見つけたら即買いで正解である。

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全英オープン2009

今年の全英オープン2日目は、注目(されすぎ)の石川遼が予選通過なるか、ってことで、しっかりとホールアウトまで付き合ってしまった。結果としては残念無念の予選落ちだったが、これはもう仕方無かろう。ウッズと同組だったのも、お互いにとってマイナスに働いてしまったような気がする。しかし、予選ラウンドが二日間同じ組み合わせとは知らなかった。2日目の組み合わせが変わっていれば、お互いにまた違った展開になっただろうに。

それはともかく、「遼君祭り」状態のテレ朝は酷かった! アナウンサー一名に解説戸張捷(コイツもかなり問題アリだが)まではともかく、ラウンドレポートに羽川豊と途中から青木功、おまけに「遼君応援団」の松岡修造まで加わって、それぞれがわーわー喋りまくるという恐ろしい実況中継。「わいわいがやがや凄まじいばかり、響きと怒りに満ちて、何も表しはしない」(マクベス)である。

でまあ石川遼も消えて、今年の全英は自分にとっては終わったな…と思っていたら、3日目終わってなんと59歳のトム・ワトソンが首位ではないか。これは面白いことになりそうだと中継を見始めたが、とても最後までは起きていられなかったので、途中から録画に切り替えて、翌朝残りを見たのであった。

最終日はまさに過酷なサバイバルマッチであって、何人もの選手が浮かんでは沈む中、いったん沈みかけたワトソンが17番を終えて1ストロークリードして単独首位。パーで終えれば史上最年長の優勝であったが、ご存知の通り18番ミドルホールの2打目がグリーンオーバーとなり、結局ボギーを叩いて先にホールアウトしていたシンクとプレーオフ。最後はプレーオフ4ホールの3ホール目で力尽きたのだった。

予選からテレビに映るたびに、いつも穏やかな笑みを浮かべながらプレーしていたワトソン。プレーオフ最終ホールでも終始笑顔ではあったが、それはあまりに寂しげで、見ていて泣かされそうになってしまった。(ラウンドリポートしていた青木も「なんだか悲しくなっちゃったよ」と言っていた)

以前ウッズが優勝した時にも思ったが、全英で優勝するプレーヤーは、まるでコースと対話しているように見える。しっかりとフェアウェイをキープしつつ、堅実なスコアを積み重ねていたワトソンが、コースの声を聞き漏らしたのはどこだったのだろう? そしていつか、石川遼がコースの声を聞ける日が来るのだろうか?

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vs.サンフレッチェ

レッズ 2-1 サンフレッチェ(NHK-BS)

先日テレビで中継されたFマリノス戦でのあまりの惨敗っぷりに、しばらくはレッズ関連の記事を書く気力も失せていたんだが、どういうわけかその後は3連勝で順位も2位浮上。まあ試合内容的にはそれほどほめられたもんじゃないっぽいが、結果が出てるのは素直に喜びたい。

で、久々にテレビ中継されたこの試合、試合直前の坪井の離脱でドタバタしたまま、佐藤寿人の見事な先制点も含め、前半はまさしくちぐはぐを絵に描いたような試合展開であった。

後半、早々に西澤を諦めCBで先発していた暢久を右サイド、ボランチにいた阿部をCBに下げ、セルを投入してポンテをやや下げるという布陣。いくらか試合が落ち着くかと思ったが、やっぱり広島に両サイドで起点を作られ、そこから鋭く裏を狙われるという展開が続いたのであった。前半から後半15分くらいまでは完全に広島ペースでの試合だったから、どこかで追加点を奪われていればそこで試合は終わっていたと思われるが、そうならないからサッカーは面白い。あ、もちろんレッズ側にとっては、だけど。

パスサッカーで相手を崩すはずが、奪った2得点はカウンター一発とセットプレーによるもの。フィンケとしても苦笑せざるを得ないだろうが、そこはそれ、物事は明るい面を見るべきであって、パスサッカーを指向するがゆえに時折繰り出すカウンターが決まったり、良い位置でFKを得られたりするんであろう。たぶん。

日々是学習って感じの今季レッズであるが、ジャスティス岡田のプレゼントPKなんかもらわなくても勝てたってのは、ちょっぴり誇って良いのでは。(でもやっぱ外しちゃいかんよ>エジ)

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「わたしたちの帽子」

わたしたちの帽子

わたしたちの帽子(高楼方子)

下の娘(小三)が学校の図書館で本書を借りてきて読んでいたのだが、読み終えた後に「面白かった!」とやたらと興奮しているので、僕も読ませてもらったのだが…

おおお、これは素晴らしい! 主人公が小学生の女の子だし、主要な登場人物がほとんど女性だから、恐らくはうちの子みたいに小学生の女の子に最も波長の合う物語なんだろうとは思うが、オヤジが読んでも充分に面白くて心に残る作品である。

物語の雰囲気自体は、日常からちょっとはずれた不思議な物語…なんだが、これが単純な超自然ファンタジーじゃないところが素晴らしい。そうなんだよ、なんでも魔法やら超能力(タイムスリップとか)やらを出せば面白くなるわけではないのだ。なさそうでありそうで、でもやっぱりないだろうけど、ほんとにあったらいいなぁ、という物語。本書で物語の面白さに目覚める子どもは、きっとたくさんいるに違いない。力強くオススメである。

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