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「スラムドッグ$ミリオネア」~ビター・マサラムービー

スラムドッグ$ミリオネア」(ダニー・ボイル監督、TOHOシネマズ・シャンテ)

本年度のアカデミー賞で作品賞と監督賞以下計8部門を受賞した本作であるが、先日出かけた平日夜の回は思いがけずガラガラであった。確かに面白かったのではあるが、微妙に人に薦めにくい映画かもしれない。

(で、例によって以下ネタバレはしないが、未見の方は読まないほうが吉のような気がするのでご留意を)
 
 
 
世の中にいわゆる「クイズ番組」は星の数ほどあるが、やはり王道は複数回答者による早押しクイズか、あるいは一人の回答者がひたすら答え続けるタイプだろう。後者の番組スタイルで、どこまでも正解を答え続ける青年がいた。彼は高学歴の秀才でもなければ、あらゆる教養に触れるような上流階級の人間でもなく、スラム出身のお茶汲み係であった。どうしてこんな「スラムの負け犬(スラムドッグ)」が、いくつもの難問に正答していけるのか?

クイズ番組で正解を答え続ける模様と、彼の生い立ちが交互に描かれていくのだが、あまりに過酷なその少年時代に圧倒される。金などとは無縁なはずのスラムの少年達が、その貧困と無知の故に下劣な大人達に搾取されるエピソードには、目を背けたくなる思いがした。

そしてその過酷な生い立ちそのものが、クイズ番組で正解を選び続ける原動力になっているのが映画のキモだろう。複雑な場面転換を繰り返しつつ、細かいカット割りと不安定に傾いた構図が、決して技巧的に過ぎずに、映画全体に不思議なスピード感と力強さを与えている。

結末はもちろん見てのお楽しみだが、僕はあれでいいと思う。だってこれは、すさまじくビターなおとぎ話だと思うから。あと、エンディングを楽しむためには、「ムトゥ 踊るマハラジャ」あたりのかつて流行った「マサラ・ムービー」を見ておくと大吉である。(★★★★)

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