« 鼈(読めねーよ) | トップページ | 梅香ゴルフ »

ゲド戦記~4、5、外伝

ゲド戦記、初期3部作(再読)に続いて、後半2作と外伝(こちらは初読)を読了。うう、面白かったけど疲れた。

帰還
ル=グウィン作 / 清水 真砂子訳
アースシーの風
ル=グウィン作 / 清水 真砂子訳
ゲド戦記外伝
ル=グウィン作 / 清水 真砂子訳

物語内での時間的には、第3巻「さいはての島へ」の終盤にシンクロするかたちで、ゴントで暮らすテナーと養女テルーの様子からストーリーが開始される。アチュアンから脱出したテナーのその後、ゲドの帰還、アレン(レバンネン)の戴冠と物語は進むわけだが、とにかく文章の雰囲気が変わっているのに愕然とする。前半3部作が、格調高い一種の武勇伝であったことに比べて、なんという生々しさ! ある種の私小説的な現代文学の趣である。

前半3部作が「英雄伝」であったところから、一気にジェンダーの問題に深く踏み込み、ゲドの功績のみならずその存在にまで疑問を投げかけるという衝撃の展開。この流れは最終巻「アースシーの風」にまで続き、「ゲド戦記」世界の中核であるはずの、ローク島の学院と魔法使いの存在そのものにさえ、揺さぶりがかけられている。恐るべし、ル=グウィン。

これら後半2巻を物語的にも思考的にも補完するのが「外伝」である。実際に書かれたのは「帰還」と「アースシーの風」の間で、確かにそう思って読むと、最終巻がより理解しやすくなる。どのエピソードも物語的に素敵だが、特に冒頭の「カワウソ」は、神話の起源として読み応えがある。

後半3巻、物語としては確かに充分面白い。しかし、ここまで作者の問題意識が前面に出ているのであれば、文学としてよりもテクストとして、「楽しまずに」読み込むべきなのかもしれない。「児童文学」や「ファンタジー」の枠組みを大きく逸脱した後半3巻、これからどう読まれていくのだろう?

|

« 鼈(読めねーよ) | トップページ | 梅香ゴルフ »

「書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントありがとうございました!

読後、たっぷりした終了感とともに、ちょっと寂寞感がともないます。
せっかく作ったアーキペラゴという魅力的な世界、そこを舞台にした作品をドンドン作って欲しいなあと思いましたね。ちなみに外伝のお気に入りはオジオンが登場するお話ですね。

投稿: しゅう | 2007.02.10 16:24

>しゅうさん
コメント&TB、ありがとうございます。
確かに「外伝」を読むと、まだまだいくらでも物語が生み出せそうですよね。それにしても、「影との戦い」と「アースシーの風」との思想的な隔たりには愕然としました。何年かしたら、また読み返したいと思っています。

投稿: yuji | 2007.02.15 01:37

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/15752/13855366

この記事へのトラックバック一覧です: ゲド戦記~4、5、外伝:

« 鼈(読めねーよ) | トップページ | 梅香ゴルフ »