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「硫黄島からの手紙」~無念

硫黄島からの手紙」(クリント・イーストウッド監督、12月27日 MOVIXさいたま)

父親たちの星条旗」と共に、「硫黄島2部作」とされてはいるが、これはもうまったく別の作品。「父親たちの星条旗」が、ある意味硫黄島から始まる物語なのに対して、「硫黄島からの手紙」は、硫黄島ですべてが終わる物語である。

圧倒的な戦力差を知りながらの、絶望的なミッション。麾下2万の兵力は、陸海軍で指揮命令系統が異なり、双方の反目さえある。兵士達は皆訓練不十分なうえ、劣悪な生活環境にあって健康状態も悪く、志気も低い。守備隊長としての栗林中将の苦悩はいかばかりであったか。並み以下の指揮官であれば、ロクな準備もせずに、安易な玉砕戦法に逃げ込んだであろう状況下で、彼は敵軍をして感嘆せしめる抵抗をしてみせた。

だがしかし、イーストウッドは栗林中将へのシンパシーとリスペクトを保ちつつも、冷徹な描写で日本軍が壊滅していく様を描いていく。敵弾に倒れる者、自決する者、あるいは戦闘ではなく疫病に命を奪われる者・・・ 無数のおびただし死が、ニヒリズムさえ漂う演出で展開される。これは監督が日本人ではないからできることなのか、あるいはイーストウッドの天才ゆえなのか。大仰なドラマやエモーショナルな演出などが無いからこその、痛いほど胸に残る作品だと思う。

それにしても、かつてこれほど兵隊達の「無念さ」が伝わる映画があっただろうか。60余年の時を経て、アメリカ人の手によって届けられたこの映画を、我々はしっかりと受け止めなければならない。必見(★★★★★)

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「映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

私も久々に号泣する映画でした。
切なかったです。
日本人は皆見るべきですね。
でも私もこれがアメリカ人によって作られた映画という事がなんとも言えない気分です。

投稿: Yukarin | 2006.12.30 20:47

>Yukarinさん、コメントどうもです。

映画館ではエンドロールが終わってからも、席を立たずにハンカチで目頭を押さえている女性が目立ちました。僕も心で慟哭しましたですよ(泣)

投稿: yuji | 2006.12.31 12:10

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» 硫黄島からの手紙 [♯Credo]
映画「硫黄島からの手紙」「父親たちの星条旗」も見ていたのですが、後編のほうを見てから書くか・・・・ということでほっておいたのですが・・・・。戦争映画とはいえ、それもひとつの興行である。しかし、この2作、映画館でかけるには、今までの・・・たとえば「プ...... [続きを読む]

受信: 2006.12.30 17:55

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