« vs.ジュビロ(J1第29節)、その他 | トップページ | 「システム手帳の極意」~達人への道は険し »

「父親たちの星条旗」~「現場」の真実

父親たちの星条旗」(クリント・イーストウッド監督、11月1日 丸の内ピカデリー1)

「硫黄島での激戦を、日米双方の視点で描く」とかいうのが宣伝文句だったので、基本的に硫黄島だけが舞台かと思っていたのだが、そんなことはなくて、この映画はこの映画で、しっかりと独立した作品となっている。

有名な「硫黄島の星条旗」の写真が、銃後のアメリカにどんな影響を与えたか、そしてその写真に写された兵士たちが、どんな運命を辿ったか。そもそもあの写真自体、どんな経緯で撮影されたのか。そんな、ある意味シンプルな題材を、イーストウッドは驚くほど静かで丁寧な演出で描き出している。

描かれているのが史実(とされているもの)であるので、特にサプライズがあるわけでもなく、終盤に向けての大きなクライマックスも見当たらない。戦闘シーンは激烈かつ凄惨ではあるが、「プライベート・ライアン」的な生々しさが無いのも、イーストウッドの演出ゆえだろうか。硫黄島での場面が、全編モノクロのような色調で撮影されているのが印象的だった。

俳優陣は知らない連中ばかりで、すぐにわかったのはバリー・ペッパー(「プライベート・ライアン」)ぐらい。あと、「写真の英雄」の一人、インディアン兵士・アイラ役のアダム・ビーチは、どこかで見たなーと思っていたのだが、後で調べたら「ウインドトーカーズ」でサイパンで戦っていた。

タイトルから連想されそうな「好戦・愛国」的作品ではもちろんないし、同時に「反戦・厭戦」でもない。戦場という「現場」で、兵士達がどう戦い、何を見たのか。そしてそれが、決してそのままの形では故郷に伝わらないという現実。「現場にあった真実」を伝えようとしたこの映画は、かなり画期的なのかもしれない。戦争映画らしからぬ、しみじみと穏やかな後味の一本(★★★★☆)

*********

本編終了後、「硫黄島からの手紙」の予告上映。同じ硫黄島での戦闘がメインというだけで、映画自体の雰囲気はまるで違って感じられる。どんなふうに仕上がっているか、楽しみである。

|

« vs.ジュビロ(J1第29節)、その他 | トップページ | 「システム手帳の極意」~達人への道は険し »

「映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/15752/12534524

この記事へのトラックバック一覧です: 「父親たちの星条旗」~「現場」の真実:

» 父親たちの星条旗 壮絶な戦闘シーンは圧巻、でもどこか「プライベート・ライアン」に似ている [シカゴ発 映画の精神医学]
 クリント・イーストウッド監督の硫黄島の戦いを題材にした新作。  早くも「アカデミー最有力候補」とも言われており、日本でも前評判は高いようだ。  昨年の「ミリオンダラー・ベイビー」で、イーストウッドの監督としての力量にノックアウトされた私は、早速鑑賞....... [続きを読む]

受信: 2006.11.06 05:19

« vs.ジュビロ(J1第29節)、その他 | トップページ | 「システム手帳の極意」~達人への道は険し »