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「日本沈没」~「新釈・日本沈没」(ネタバレ注意!)

日本沈没」(樋口真嗣監督、9月1日有楽座)

映画の日、この夏なかなかのヒットとなっているらしい「日本沈没」を観に有楽町へ。開演ぎりぎりに到着したのだが、400席の劇場は、およそ6割程度の入り。7月中旬公開だから、この時期にこの入りはまずまずではないか。

何を隠そう、僕は本作のオリジナル版を、リアルタイムにロードショーで観ている。忘れもしない上野東宝、早朝から並んで座ったその回は、立ち見が出るほどの大入りだった。実に33年前のことである。(自分で書いてて軽くショック)

30年の歳月を経てリメイクされた本作だが・・・(以下、思い切りネタバレになりそうな予感。未見の方は近づかないほうが吉)
 
 
 
 
もう書いてもいい??
 
 
 
  
さて、観る前に予想していたのは、メインストーリーは原作(あるいはオリジナル版映画)を踏襲して、特撮シーンをパワーアップしたり、登場人物を現代風にしたり(女性が活躍する、とか)・・・というものだったのだが、基本的にはその通り。ただ、後半にオリジナルとは全く別の展開を盛り込み、それが全編のクライマックスシーンとなっていたのはサプライズだった。

まあ、寛大に捉えれば、こういう展開と結末もアリかな、という気はするし、映画的には盛り上げようがあるとは思うのだが、なんというか、結局のところ「リメイク版・日本沈没」ではなくて、「日本版・アルマゲドン」、あるいは「日本版・ディープ・インパクト」になってしまった、という感じがするのだ。「日本沈没」自体が、オリジナリティ溢れる純国産作品なのに、わざわざ「アルマゲドン」っぽいシーン(火山弾が名所旧跡に降り注ぐ、とか)や、ラスト近くに大地真央演じる首相代行が、被災者を前に声明を読み上げるシーン(「ディープ・インパクト」の大統領演説とほぼ同じシチュエーション)を再現する必要があったんだろうか?

原作の結末は、日本人がかつてのユダヤ人のように「流浪の民」化することを暗示していて、オリジナル映画もほぼそのニュアンスで終わっている。ここまで書いたから書いちゃうが、オリジナル版のラスト、沈みゆく日本を脱出する際に離ればなれになってしまった小野寺(藤岡弘)と玲子(いしだあゆみ)は、一人は灼熱の砂漠地帯を他の日本人難民と共に移動する貨物列車の中に、もう一人が吹雪の中を進む難民客車の中にいるというシーンになっている。故国を失った日本民族の、その後何世紀にも及ぶであろう苦難の時代を予感させて、子供心にも強烈な印象のラストシーンだった。

70年代、奇跡の復興を遂げた日本は、二度にわたるオイルショックで、それまで享受していた高度成長の脆さに気づかされた。その時代の不安に満ちた空気が、「日本沈没」という作品を生みだしたのだとすれば、平成の「日本沈没」を生み出したものは何だったのだろう? もしかしたらそれは、「どんな困難に直面しても、我々日本人は、最後は自分達でなんとかするのだ」という、根拠無き自負なのではないか・・・と思いついて、なんだか気が重くなってきた。

映画自体の出来は凡庸。自然災害シーンは確かに素晴らしかったが、30年前、CGなど無かった時代にミニチュア特撮で作り上げたオリジナル版を考えれば、表現がリアルになっただけにすぎない。製作者の考え方だとは思うが、原作でもオリジナル版でも中盤のクライマックスとなっている東京大地震が描かれなかったのも、ちょっと肩透かしといった感じだ。いろんな意味で中途半端(★★★)

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