« vs.ドイツ~やっぱり予言された未来 | トップページ | 今週の豆:フィリピン・ミンダナオ »

「グッドナイト&グッドラック」~硬派ドラマ

グッドナイト&グッドラック」(6月1日、TOHOシネマズ六本木)

映画の日、気になっていた本作を観に六本木ヒルズへ。公開からほぼ一ヶ月、恐らくは終映も近いと思われるのだが、小さいハコながらもだいたい7割ぐらいの入りか。

例によって、あまり予備知識を仕入れずに観たのだが、こういう実話ベースの作品を観るには、やはりある程度の予習は必要だったかも知れない。うんと昔に読んだハルバースタムの、「メディアの権力」に出てきたような名前を思い出しつつ、映画を観ていた。

ストーリーは単純で、マッカーシーの赤狩りがエスカレートしていく中、それに立ち向かった実在のニュースキャスター、エド・マロー(CBS)と彼のスタッフの闘いを描いている。

監督はジョージ・クルーニーで、マローの番組プロデューサー役でも出演している。全編をモノクロで撮り上げているが、そのせいでふんだんに用いられる当時のニュース映像が、違和感なく本編とシンクロしている。奇を衒わない手堅い演出ながら、適度に力が抜けているあたり、新人監督らしからぬ才能である。

映画が扱っているのは史実だから、マローの告発は赤狩りの機運を転換させるきっかけとなり、やがてはマッカーシー自身に失脚をもたらすことになる。ぱっと見、メディアの勝利だ、正義は勝つ、自由を守る戦いは偉大だ、みたいな映画に見えなくもないのだが、もちろんそんな単純なことではない。赤狩りに抵抗し、勝利したはずのメディアは、いつの間にか「モノ言わぬ」存在に戻ってしまっている・・・そんな失望感が、映画全体から漂ってくる。

「報道に真の中立などあり得ない」、「問題は(メディアの)我々自身にある」、「テレビが笑いと娯楽しか提供しないなら、そんなものは滅んで当然だ」等々、番組内で発せられるマローのコメントの数々は、そのまま現在のマスメディアに対する警告として受け止めるべきだろう。夜の9時台、10時台に、ニュースショー以外には硬派の報道番組が放送されていない現状に、我々はもっと危機感を持つべきなのかも知れない。

まさしく硬派の一本。佳作である。

|

« vs.ドイツ~やっぱり予言された未来 | トップページ | 今週の豆:フィリピン・ミンダナオ »

「映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。

この映画、パリで見ましたが、ブッシュ政権(とそれを取り巻く米国の現状)への批判を第一に考えた映画のように思いました。

投稿: ガーター亭亭主 | 2006.06.04 14:05

>亭主様

コメントありがとうございます。
そうですね、史実を描きつつ、現状を批判している・・・というのは確かでしょうね。ジョージ・クルーニー、タダモノではないな、という感じでした。

投稿: yuji | 2006.06.07 01:16

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/15752/10383625

この記事へのトラックバック一覧です: 「グッドナイト&グッドラック」~硬派ドラマ:

» ■〔映画雑談Vol.20〕今年鑑賞したシリアス・タッチの映画たち [太陽がくれた季節]
―含、『グッドナイト&グッドラック』(2005/ジョージ・クルーニー)鑑賞プチ・メモ&more... ●5月24日(水) こんばんは、ダーリン/Oh-Wellです。 ここ東京では、今日(5/24)夕方18時ほどから雷を伴なった大雨に。 矢張り、六月の梅雨時とは違って、朝、傘を持たずに家を出た勤め人や学生など等が少なくなかったようですね。 19時半頃の自宅最寄り駅前などでは、駅の建物から出れぬ人でもって普段よりも可也混雑していました。 23時過ぎ現在、雨脚こそ弱まってはいる... [続きを読む]

受信: 2006.06.20 21:33

« vs.ドイツ~やっぱり予言された未来 | トップページ | 今週の豆:フィリピン・ミンダナオ »