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「停電の夜に」~向田邦子マサラ風味

停電の夜に
ジュンパ・ラヒリ〔著〕 / 小川 高義訳

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なんて豊かな物語たちだろう! 短編集でありながら、一編一編に拡がりと深みがあり、まさに「豊饒」と形容したくなるような物語ばかりだ。ピューリッツァー賞受賞も、充分に納得できる。

なんでもない日常の、ほんの一時期をすくい上げて、そこに濃密な世界を描き出す手腕は、ちょっと向田邦子を連想させる。それに加えて、著者の母国であるインドの風習や文化がさりげなく挟み込まれ、まるでスパイスのような効果をあげている。そしてまた、インド自体は大国であるけれど、祖国を離れたインドの人々が、マイノリティとしてイギリスやアメリカで生活する、その微妙な機微の描かれ方も絶妙だ。

泣けるとか感動するとか、そういう安直なリアクションではなく、微かな痛みと共に、心の奥底に小石が沈み込むのが感じられるような、繊細にして密度の濃い感覚を味わえた。充実の名品群である。必読。

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