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「うしろ姿」~最後の作品?

うしろ姿
志水 辰夫著

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近年はすっかり「抒情の名手」となったうえ、生きいそいだ挙げ句に負け犬になって男坂を下ったりする人々ばかりを描き続けている著者の、まさに「人生の黄昏シリーズ・最終編」みたいな短編集である。

収められた7編の物語は、どれも丁寧に作り込まれており、格調高く、味わい深い。恐らくは長編小説に値するであろう物語を持つ登場人物達の、人生の黄昏時を短編に切り取られた「うしろ姿」が、シミタツらしく、ややひねたスタイルで描かれている。ところどころに用意された小さなサスペンスやサプライズは、オールドファンを少なからず喜ばせることだろう。このタイプの作品群の中では、とてもバランスのとれた佳品だと思う。

しかし、本編もさることながら、本書での読みどころは、著者自身による「あとがき」である。本(小説)を巡る現状への失望と危機感、自分自身を振り返っての絶望感、そして行間に漂う反骨の意志・・・ 著者の、「この手の作品はこれが最後になります」という言葉を、我々読者はどう受け止めればいいのだろう?

著者のホームーページによれば、どうやら新作に取りかかっているようだから、少なくとも引退宣言では無さそうだ。あんな宣言をしたうえでの新作が、どんな作品になるのか、今から楽しみだ。(やっぱり抒情派短編でした、ってのはナシね)

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