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「ラスト・ダンス」~うまく踊れた?

ラスト・ダンス
エド・マクベイン著 / 山本 博訳

「87分署シリーズ」も、この作品でついに50冊目。毎度同じようなパターンを踏襲しつつ、毎回微妙に異なるプロットで新鮮さを保ち、一方でシリーズ読者への様々なサービス(仕掛け)で楽しませるという、長寿シリーズならではの楽しさに満ちている。

本書の解説にもある通り、本作もいつものように複数のストーリーが平行して語られる「モジュラー型」の展開を見せるのだが、今回に関しての特徴は、一見無関係の各エピソードが、どんなふうに絡み合ってくるかというところにある。かなり工夫を凝らしたプロットであるため、読むほうは結構頭を使わされるので、途中、何度か前のほうを読み返したりしてしまった。

もっとも本作に関しては、エピソードによってはちょっと説明不足というか、かなり無理したところもあって、必ずしも100%のスッキリ感とはいかないのが残念だ。巨匠、ちょっとサービスし過ぎたかもしれない。

今回スポットライトを浴びるのは、シリーズ初期からの名脇役、情報屋のダニー・ギンプと、ここ数作で圧倒的な存在感を見せている、お隣88分署の嫌われ者、でぶのオリー・ウィークス刑事だ。特に「でぶのオリー」(ファッツ・ウォラーのもじり?)はマクベインのお気に入りらしく、本作でも大活躍である。

作中に散見される、シリーズ読者へのサービスだが、目に付いたうちの一つはこんな感じだ:

彼女が見た映画は回顧上映されていた黒澤作品のひとつで、タイトルは「天国と地獄」だった。安っぽいミステリものを書いているアメリカ人作家の小説からとったものだ。

他にも結構自虐的なギャグが出てきて、マクベインの悪ふざけぶりが楽しめる。

翻訳は前作に続いて山本博。くせのない素直な訳で、読みやすくて好感が持てる。本シリーズは終盤に入って、良き翻訳者を得ることができた。

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