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「くりかえし聴く、くりかえし読む」

吉田秀和が朝日新聞にほぼ月一回のペースで連載していた「音楽展望」の、1997年から1999年までの文章を中心に、各年の演奏会評を加え、一巻にまとめたもの。前半は少しずつ読んでいたのだが、後半をまとめて読み終えた。

今さら感想を書くまでもないが、相変わらずの達意の文章に唸らされる。本当に、何度読み返しても飽きない文章である。

本書での特徴は、国内外を問わず、追悼文が多くなったことだろう。黛俊郎、池田満寿夫、リヒテル、ショルティ、メニューヒン・・・ 同時代の芸術家達を送る文章は、彼らとの自身の交流もあって、感傷的で痛々しい。それでも、だからといって「昔は良かった」的な懐古趣味に逃げないところが、吉田秀和の真骨頂だろう。

本書の帯に引用されているのは、こんな文章だ:

理屈に囚われず、虚心でくりかえしきくのが一番良い。(中略)できるだけ注意してきかないと、きき落とす音が多くなる。それでも無理をすることはない。小さくてアッという間に通りすぎたものでも、くりかえしきくうち、耳に入ることになるだろう。

これはヴェーベルンの音楽について述べた文である。

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