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「あの子を探して」

あの子を探して

チャン・イーモウ監督(録り溜め消化シリーズ、NHK-BS)

※今回はかなりネタバレになってしまったので、未見の方はご注意を。
 
 
 
いろんな意味で切ない映画だった。田舎の学校にはお金が無く、チョークさえ節約して使っている。そこへやってくるミンジは、わずか13歳の少女だし、報酬の50元欲しさに、恐らくは小学校修了程度の学力だけを頼りに、代用教員に志願したのだろう。当然ながら、まともな授業などできる能力も無く、その意欲さえない。

そのミンジが、教師に言われた「一人でも生徒を減らしたら報酬は無し」との脅しを真に受け、家庭の事情で街へ出稼ぎに出された生徒・ホエクーを、探し出して連れ戻そうとする物語。

街へ行くためのバス代さえ無いミンジは、生徒達とあれこれ費用の工面をするのだが、このへんのエピソードは、微笑ましいを通り越して、少々不快なほどである。また、なんとか街に辿り着いたミンジの、ホエクー探しの一連の行動も、見ているこちらがイライラするほど不器用だ。

結局のところ、物語は少々おとぎ話的な展開を見せて、ハッピーエンドと言っていい結末に落ち着くのだが、これをハートウォーミングなヒューマンドラマと片づけてはいけない。ここにあるのは、貧困と無知にさらされた、紛れもない現代中国の一断面である。

いささか見当違いな労苦を重ねたミンジだが、それでも試練は人間を成長させる。終盤、ある経緯から手に入れた色とりどりのチョークを手に、生徒皆がそれぞれ一字ずつ黒板に書くシーンには、胸を打たれた。にこやかにそれを見守るミンジの顔は、まさに教師のそれだった。

しみじみとした味わいの、しかしあれこれ考えさせられる「苦さ」のある秀作である。

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