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「第15回ショパン国際コンクール~入賞者によるコンサート」in 長野

ひょんなことからチケットが転がり込んできたので、思い切って長野まで出かけてきた。

第15回コンクールの3位入賞者である山本貴志君は、長野出身ということで、この日の会場はほぼ満員。もっとも、そのせいかどうか会場周辺の道路が渋滞しており、開演時間にもまだ観客が入場してくるような状態だった。(僕自身も、開演5分前に滑り込みセーフ)

会場に到着すると、入り口に張り紙がしてあり、今回演奏者の一人、コンクール1位のラファウ・ブレハッチ(ポーランド)が急病のため出演できず、代わりに同6位のカ・リン・コリーン・リー(中国/香港)が出演。それに伴いプログラムも若干変更され、もともと後半のコンチェルトだけに登場予定だった山本君が、前半にソロで一曲だけ弾くことになった。なお、曲目はオール・ショパンである。

まず最初にコリーン・リーが登場。曲目は:
・プレリュード第17番
・プレリュード第18番
・幻想曲
の三曲。

上にも書いたが、当日の交通事情のため、開演時間ぎりぎりに到着したお客さんが多く、彼女の弾き始めには、まだ場内が落ち着いてない雰囲気だったので、少々気の毒だった。三曲弾き終わってから、一曲アンコールを弾いた(曲目分からず)のだが、その途中に会場で携帯の着信ベルが鳴ったりしたのも不運。

演奏自体は、音がきれいでとても良かった。テクニックもあるし、強奏部も濁らない。強いていえば、やや線が細く、全体の構成感みたいなものが物足りなかったかも。でも、決して悪くなかった。

続いて、大喝采の中、地元出身・山本貴志君の登場。22歳のはずだが、なんだかとってもかわいらしい雰囲気で、どことなくフィギュアスケートの織田信成を思わせる(笑) ここで弾いたのは「舟歌 作品60」だけだったが、最初の一音から集中力が高く、一気に引き込まれた。

演奏中、時に鍵盤に顔を埋めるほどに近づけたり、天をふり仰いだまま弾いたり、身振りの大きさが目に付く。しかし、聞こえてくる音は、どこまでも繊細で美しい。音のきれいさという点では、当夜の三人中、最高だろう。難点を挙げるとすれば、ややボリュームに欠ける点か。

三人目は、同3位のイム・ドンミン(韓国)。曲目は以下の三曲:
・バラード第3番
・ノクターン第13番
・ワルツ第4番

彼はうまかった! ダイナミックスの広さ、テクニックの正確さ、構成感の見事さ。それぞれのバランスが素晴らしく、上位入賞もなるほどと思わせる。山本君と違って、ほとんどアクションのない端正なたたずまいが、また彼の演奏と良くマッチしている。とはいえ、目立つ特徴が見当たらないというのは、ちょっと物足りないところかも。

ここまでで前半終了。後半はオーケストラ(ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団)が登場し、アントニ・ヴィット(知らない)指揮のもと、まずはオケご紹介の「フィガロの結婚序曲」。なんか楽団員の平均年齢が高い感じで、演奏も早めのテンポの割には落ち着き感満点(笑)

で、山本君が再び登場し、この日の目玉のコンチェルト第1番。この曲、恥ずかしながら実演では初めてであるが、うーん、こんな曲だったのかー。山本君の演奏は素晴らしく、特に2楽章の美しさには感心。あまりの美しさに、ちょっと意識を失いかけたのはナイショだ(汗) あと、指揮者とオケも、「伴奏慣れ」してる感じで、上品にピアノを盛り立てていて、とってもオトナであった。

コンチェルトが終わって拍手喝采の後、ソロでアンコールを二曲。最初に「練習曲作品10-4」を快速(つーか超速)でぶっ飛ばして、その次は・・・知らない曲だった(笑)が、なんともお洒落に締めくくっておしまい。満場の暖かい拍手が、いつまでも続いたのであった。

*********

前半のソロで三人を聴き比べた格好になったわけだが、同じピアノを使っているのに、三人とも音が違うのには改めて感心。それぞれに個性があって面白かったが、弾かされるほうは、なかなかに複雑な心境なんだろうな。

考えてみれば、久しぶりのコンサートだったので、大いに楽しめた。これを機に、またコンサートに通ってみたいものだ。

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コメント

TBありがとうございます。
同じ会場で同じ演奏を聞いていらした方が、だいたい同じ感想を抱いておられて、安心しました(;^^)

あの非常識な携帯電話の音(-_-;)はともかくとして、交通事情が悪かったのは駐車場係不在だったせいでもありましょう。1位のブレハッチがこなかったことも合わせて、主催者の不手際も目立ちましたね。でも山本さんはじめ、演奏自体はよかったから許しちゃいます〜。

わたしくしの方からもTBさせていただきます。よろしくお願いします。

投稿: lemidori | 2006.01.29 23:19

>lemidoriさん
コメント&お返しTB、ありがとうございます。

トップ奏者のコリーン・リーはちょっと気の毒でしたが、それぞれ演奏自体は良かったですね。特に山本君の繊細な音楽作りには感心しました。

そちらのコンサートレビューは素晴らしいですね! 臨場感満点で、当日の様子が目の前に浮かぶ感じです。

投稿: yuji | 2006.01.30 23:57

初めまして。

長野での演奏会の模様を拝見し、トラックバックを送らせていただきました。

ブレハッチの件は残念でしたが、コンクール当時から相当消耗しているようでしたので、ゆっくり休養をとってもらいたいものだと思っております。

投稿: 望 岳人 | 2006.02.03 12:04

>望岳人さん
トラックバック&コメント、ありがとうございます。
今頃気がついたのですが、今回のコンサートツアー、かなり過酷なスケジュールなんですね。「旬のうちに・・・」というのは分かりますが、それにしてもね。
それはともかく、山本君の演奏は、是非また聴いてみたいと思わせるものでした。

投稿: yuji | 2006.02.05 07:08

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