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「親切なクムジャさん」~「チャングム」外伝(嘘)

親切なクムジャさん」(12月1日、日比谷シャンテシネ)

ちょうど一年前に見た「オールド・ボーイ」が印象深い、パク・チャヌク監督による、またもや凄絶な復讐劇。主演は「チャングムの誓い」で有名な、イ・ヨンエである。見たのは「映画の日」だったのだが、劇場はほぼ満員であった。

ところで、通常なら「ネタバレ注意報」を発令するところだが、公式サイトを見ると、ストーリーについてかなり詳細に紹介されているので、それを基準に以下の文章を書いた。気になる方は、公式サイトも含めて、予備知識最小でご覧になることをオススメする。
 
 
 
無実の罪で13年間服役していた主人公、クムジャさんが出所するところから、物語は始まる。出迎えに来た牧師に「余計なお世話よ」と言い放つ彼女の姿は、刑務所内で「親切なクムジャさん」と慕われた姿とは、対照的なものだった・・・

という感じで始まった物語は、クムジャさんの服役中のエピソードと、出所してから彼女が「復讐」を果たそうとするプロセスを、交互に織り交ぜて進んでいく。刑務所内で、にこやかに善行を積み重ねるクムジャさんの姿は、まさに「チャングム」で見せるイ・ヨンエの姿そのもので、けなげでかわいらしい。そして出所してからの彼女は、濃い化粧に赤いアイシャドウを塗り、くわえ煙草で復讐のステップを踏んでいく。

凝った演出ではあるものの、ストーリーは案外単純なので、ふむふむと思って見ていたが、後半、物語は思わぬ展開を見せる。なるほど、これがあってこその「復讐」だったということか。

全体的に面白く見られたし、細部もかなり凝っていて楽しめたのだが、やはり「オールド・ボーイ」には及ばない。あちらは復讐劇が二重構造となっていて、それが映画としての構築感やドライブ感を支えていたのだが、本作では、ストーリーが直線的な分、先が見えない面白さには欠けている。それよりも、根本の設定を始め、キーとなる設定がかなり強引なので、簡単に感情移入しにくかったことのほうが、より大きなマイナス要因か。

むしろ監督としては、「チャングム」のイメージを、徹底的に利用したかったのかもしれない。幾多の困難にめげず、明るくけなげに逆境を耐え抜くチャングム=クムジャさんが、厚化粧にハイヒール姿で、冷酷に復讐を遂げていくギャップをこそ、描きたかったのではないか。と、そんな気がしてしまう。

凝った演出に、バロック調の哀切な音楽、随所に出てくる歪んだユーモア。イ・ヨンエのブラック・コメディとして観ることもできそうだが、それにしては、扱われる「幼児誘拐殺人」という事件が、余りに重すぎる。秀作と評するには、疵が多すぎる。

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