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「ダイスをころがせ!」~選挙へ行こう!

時まさに、郵政民営化法案を巡って、可決だ否決だ、解散だ総選挙だ、代表監督更迭だ(嘘)とやかましいが、こんな時期に格好の一冊(文庫では上下二冊)である。

主人公・駒井健一郎三十四歳は、半ば追い出されるような形で職を辞したものの、再就職活動は一向に捗らず、そんな夫に業を煮やした妻は、一人娘を連れて実家に帰省、実質別居状態。何もかもどん底状態の彼の前に現れた、高校時代の旧友・天知達彦から、なんと国政選挙に打って出るので手伝って欲しいともちかけられる。

「地盤」(地元のコネ)は、本人が地元出身というだけ、これといった「看板」(人脈)もなく、、「鞄」(資金)に至っては、天知本人の、新聞記者時代の貯金と退職金のみ。何から何まで常識はずれの国政出馬ながら、天知の熱い思いが、駒井を始め、かつての旧友達の人生さえ巻き込みながら、いつしか「大いなる祭り」として、白熱の選挙運動が展開される。果たして、天知は当選できるのか・・・?

相変わらず巧い。普通ならカネとコネの、選挙の裏側を暴くような展開になりそうなものだが、この小説では、徹底的に表側から選挙を描いている。最初はシニカルに支援のポーズだけ取っていた周囲の人間が、少しずつ天知の理想に共鳴しつつ、だんだんと「選挙そのもの」の面白さにとりつかれていく様子。間接的・直接的な、各方面からの妨害の数々に打ちのめされつつ、少しずつ逞しくなっていく主人公達の姿が、実に爽やかだ。

参政権を行使しない(投票しない)ことで、国政への失望感を表明するというのも、確かに一つの理屈かもしれないが、結果としてその行為は、現政権への信任となっている。だから、現状に不満・不安があるのなら、そして何かを変えたいと思うのなら、与えられた参政権(一票)という、「手の中のダイスをころがして」みるべきだ、と作者は語る。

とはいえ、決してそんな啓蒙の書というわけではなく、目次をすごろくの目のような表現にしたり、随所にユーモアを織り交ぜたりと、例によってサービス満点。少々盛り込み過ぎの感もないではないが、とにもかくにも、第一級の「選挙エンターテインメント」である。オススメ。

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