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「ミリオンダラー・ベイビー」

ミリオンダラー・ベイビー」(7月1日、MOVIXさいたま

※例によって、ではあるが、本作もできるだけ予備知識無し(公式サイトも含め)で鑑賞したほうが、より楽しめると思う。ネタばれはしないけれど、未見の方は、以下、気を付けてお読み下さい。


映画を見終えて、というより、観ている間中ずっと、「完璧」という言葉が頭に浮かんでいた。「完璧な映画」というものがもしあるとすれば、この映画は間違い無く、そう呼ばれるべき一本だろう。

陰影に富んだ、どこか懐かしい感じのする画面。抑制され、語りすぎない演出。しみじみと心に残る音楽(イーストウッド自らが作曲)。そしてそれらすべてを包み込む、映画作家としてのイーストウッドの、圧倒的なまでの映画への「愛情」。全てが素晴らしい。

主要な登場人物三名のそれぞれが、語りきれない「喪失」の物語を背負っているわけだが、映画ではそれを映像で見せたりせずに、わずかに彼らの口から語らせるのみだ。でも、それが当然で、人は他人の「物語」について、その人の口から語られた言葉で理解するしかない。そこにどれだけの重みを感じ取れるか。実の家族でさえ見失ってしまった、「コミュニケーション=お互いを理解する力」が、殴り合い(ボクシング)という身体ひとつのゲームを通じて、彼らの間に生まれる。

映画の結末は、あまりに重い問いかけを観る者に残すが、たぶんイーストウッドの思いはそんなところにはない。人と人が触れ合い、理解し合い、信頼し合うということに対する、祈りにも似た希望。そんな思いが、この映画全体に、透明な明るさをもたらしているのだろう。

見終わった直後よりも、一夜明けた今のほうが、いろいろな場面を思い出しては、鼻の奥がツンとなる。完璧な傑作。

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» ■〔映画鑑賞メモVol.1〕『ミリオンダラー・ベイビー』(2004/クリント・イーストウッド) [太陽がくれた季節]
皆さん、こんばんは~ 私め、 昨晩のレイトショーで『ミリオンダラー・ベイビー』を鑑賞いたしました! じわりじわり、 映画のあれこれが今甦って来ています。 うーん、鑑賞した昨日よりも、むしろ、日が変わった今日の方が『ミリオンダラー・ベイビー』という映画の余韻に浸らずとも浸っていたというか何と言うか...((^^; ―皆さん、 そんなこんなで、 特に、先週木曜日ほどから本作でのあれこれでTBをさせて頂いたり、TBを頂いたり、コメントを頂いたり、私的にメールを頂... [続きを読む]

受信: 2005.07.02 19:14

» イーストウッド、センチメンタリズム。 [kiku's]
タイトルの付け方からしてイーストウッドのセンチメンタリズムあふれる『ミリオンダラー・ベイビー』 まさかこんな結末だとは思ってもみなかった。イーストウッド作品だからある程度のヘヴィーさは覚悟していたけど、ここまでだとはね。 でもまあ、考えてみればこの結末し... [続きを読む]

受信: 2005.07.03 00:27

» ミリオンダラーベイビー/言葉のパラドックス [マダム・クニコの映画解体新書]
 (ネタバレ注意!!)ボクシングと詩には共通点がある。だから主人公のボクシングトレーナー、フランキーは、ボクシングとともに、同郷のアイルランド詩人、イエーツの作品をこよなく愛する。本作のテーマは“言葉のパラドックス”だ。  フランキーは言う。「ボクシングは理屈じゃない。人の考えの逆をいくのだ」と。なるほど、ボクシングは自ら痛みを求めるスポーツだし、攻守の際には通常の考えとは逆の方向に動くものらしい。さらに... [続きを読む]

受信: 2005.07.07 00:04

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