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「サイダーハウス・ルール」

サイダーハウス・ルール DTS特別版

録り溜めてあった「サイダーハウス・ルール」を観た。

第二次大戦の時期、アメリカ・メイン州にある孤児院で生まれ育った孤児・ホーマー(トビー・マグワイア)を主人公に、彼の成長の軌跡を描いた作品。副主人公とでもいうか、孤児院長のドクター・ラーチの役柄が素晴らしく、演じたマイケル・ケインは、この作品でアカデミー賞の助演男優賞を受賞している。

ラーチ医師に我が子のように育てられ、医師としての訓練を受け、将来の後継者教育を受けていたホーマーだが、あるきっかけから、それまで彼にとっての世界だった孤児院から、初めて外界へと旅立つ。辿り着いた先で縁を得て、リンゴ園で働く彼は、様々な出会いと経験を経て、やがて彼のやるべき事を知るに至る・・・

こう書くと、すごくストレートな物語になってしまうが、さすがにアーヴィングの原作だけあって、登場人物は(ホーマーも含め)それぞれクセがあるし、起きる事件も、かなり現実的で痛々しい。だが、それら全体を、なんともいえないノスタルジックな「優しさ」というトーンが覆っているのは、監督のハルストレムの手腕だろうか。抑制された語り口が印象的な秀作である。

この映画でもそうだと思うのだが、「やるべき事」と「やりたい事」は、必ずしも同じではない。ある種の人々は、自分以外の誰かが与えようとする役割を、受け入れるべき境遇にある。とはいえ、純真無垢で、いわば純粋培養のホーマーにとっても、それを理解し、受け入れるためには、痛みを伴う回り道が必要だったのだ。「ただ生きる」のではなく、「役に立つように生きる」こと。ルールは外部の人間が作るのではなく、当事者自身が自ら作るべきものなのだ。

全編を、メイン州を始めとしたニューイングランドの美しい風景が彩っている。四季それぞれに美しい地方だが、特に秋から冬にかけては、日本の秋とはまた違った、豊かな彩りの紅葉が美しい。ニューイングランド(特に、メイン、ニューハンプシャー、ヴァーモント、マサチューセッツの各州)を訪れるのであれば、秋がいい。

「孤児院もの」と言えば、ディケンズが思い浮かぶが、アーヴィングの原作(僕は未読)も、恐らくはそれを意識したものだろう。映画の中でも、「デイヴィド・コパフィールド」等の著作を朗読するシーンが出てくる。アーヴィングをより良く理解しようと思えば、ディケンズも読んでおくべきなのだろうか。でもなあ、ディケンズの小説は、どれもこれもやたらと長いからなあ←根性無し

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コメント

ご挨拶が遅れて、すみません。
作品を見て興味をもち、検索で、こちらのサイトを知りました。そして、読んでると、うんと興味深かったので、思わず先にTBさせていただきました。
これからも、よろしくお願いします

投稿: noho_hon | 2005.06.27 10:34

のほほんさん(で、いいのかな?)、コメント&TBありがとうございます。

ご挨拶だなんて、どうぞ気になさらずに。トラックバック戴けただけでウレシイです。こちらこそ、これからもよろしくお願いしますね。

投稿: yuji | 2005.06.29 00:01

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