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「フィガロの結婚」

フィガロの結婚」を鑑賞。(4月17日、新国立劇場)

新国立劇場が出来てから、何度かオペラを観に行っている。席種さえ選ばなければ、かなりリーズナブルな料金で楽しめるのが嬉しい。今回の席は、3階やや左サイド。少々舞台は遠いけれど、ほぼ正面だし、音も良く聞こえるので、まあ満足である。

さて、この「フィガロ」、アンドレアス・ホモキによる斬新な演出が話題を呼び、今回が再演だそうである。(以下、僕が見た印象を書いてみるが、この演出の斬新さを楽しみたい方は、以下は観賞後に読まれるのがベターかと)

僕自身は、全然予備知識無しで出かけたので、舞台装置にまずびっくり。壁と床、そして天井がすべて真っ白で、それが舞台の奥に向かってすぼまるという、極端な遠近法的構造になっている。軽快な序曲と共に、部屋の中に新居の荷物とおぼしき、これまた白く塗られた大小様々な段ボール箱が運び込まれる。舞台装置は基本的にこれだけで、以後、終幕まで全編が、この空間内で演じられる。

登場人物の衣装も、仕立てこそ中世的だが、色は全て白か黒。第四幕の庭園での場面に至っては、登場人物全員が真っ白である(笑)

このへんの、演出上の意図みたいなものは、ホモキ自らがプログラムに書いているが、まあ、やりたいことはよく分かる舞台だった。ただ、僕のようなオペラ・ビギナーからすると、以前新国立で観た「トスカ」や「カルメン」のように、やはり華やかな舞台で楽しませて欲しかったところだ。もっとも、「フィガロ」の宣伝文句にもある通り、演劇的要素というのはかなり強調されていて、台詞のやりとりや大げさな仕草で笑わされた箇所も、いくつかあった。

(演出の話を突き詰めると、「フィガロ」みたいな作品に、果たして新演出は必要なのか? みたいな議論になってしまいそうな気がする。マンネリかもしれないが、コテコテの伝統的演出でも、充分に楽しめる作品なのは確かだし・・・ 難しいところである)

キャストはだいたいイメージ通り。スザンナは利発でちゃきちゃきしていて、とても現代的。対する伯爵夫人は、おっとりとしていて良い雰囲気。ケルビーノは大変な美声だったが、美声過ぎて、メゾの声に聞こえなかったのが玉に瑕といったところ。男性陣はおおむね良好だが、脇役陣がやや演技過剰気味。まあでも、全体として、喜劇としての楽しさは、充分に作り上げられていたと思う。

指揮の平井秀明は、演出の意図を汲み取ってか、全体を通して、劇伴調の軽やかな演奏振り。フルートやピッコロの細かいパッセージが目立つことで、音楽の軽みが強調されていたように聞こえた。その分、僕の大好きな「手紙の二重奏」なんかは、しみじみとした愛の歌ではなく、女性二人による悪巧みの歌として、早めのテンポで楽しげに演奏されていた。また、フィナーレ寸前での、伯爵夫人が伯爵に許しを与える場面でも、夫人の慈愛に満ちた歌唱にもかかわらず、聴衆をして、「えー?、これで許しちゃうのかよ!」と突っ込みたくなるような雰囲気が生まれていたのだった(笑)

あれこれと書いてはみたが、とにもかくにも、「フィガロ」は素晴らしい。CDで音楽だけ聴いても充分楽しめるが、やはり舞台で歌手が歌うのを観ると、歌が台詞として機能していることに、改めて感心する。でも、次の機会には、伝統的演出で観てみたいかも(汗)

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「音楽」カテゴリの記事

コメント

トラックバック,どうもありがとうございました。
ホモキの演出は,やはり好き嫌いが分かれるところでしょうか?

新国立には6月に「フィデリオ」を観に行く予定にしておりますので,またサイトの方にも遊びに来ていただければうれしいです。

投稿: ばけらった | 2005.04.19 10:30

ばけらったさん、コメントありがとうございます。
ホモキの演出は、かなり良かったと思いますよ。音楽そのもの、お芝居そのものが、より良く感じられましたしね。それでもやっぱり、ハデハデな舞台も観てみたいな、なんて(笑)
ばけらったさんは、たくさん舞台をご覧になっtるんですね。そちらにも、ちょくちょく寄らせて戴きますね。

投稿: yuji | 2005.04.20 00:46

遅ればせながら、トラックバック、ありがとうございます。
オペラにはぼちぼち出かけていて、今後もぼちぼち感想をアップしていきますので、よろしくお願いします。

投稿: stagedoor | 2005.04.27 07:19

stagedoorさん、コメント&トラックバックありがとうございます。
オペラ以外にも、コンサートや演劇、展覧会など、良くご覧になっているんですね。僕は、オペラならせいぜい年に一度程度しか行かない(行けない)ので、そちらのレビューを楽しませてもらおうと思っています。こちらこそ、よろしくお願いします。

投稿: yuji | 2005.04.29 07:37

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