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「雨の降る日曜は幸福について考えよう」

雨の降る日曜は幸福について考えよう
橘玲著

海外投資を楽しむ会」という団体(?)があって、そこから何冊かの著作が生まれている。「ゴミ投資家のための」と書名に付けたそのシリーズは、どれも面白く、ためになった。中でも、「投資」やら「資産運用」というものに対する幻想を、「金持ちになりたければ、真面目に働くのが一番」とひと言でうち砕いてしまった「ゴミ投資家のための人生設計入門」は衝撃的だった。(現在は、「世界に一つしかない「黄金の人生設計」」と改題され、文庫化されている)

同書のエッセンスは、「橘玲(たちばな れい)」なる人物が著しているわけだが、彼が各著で述べてきた主張を、改めてまとめ直したのが本書「雨の降る日曜は~」である。(前半部分は、日経新聞の日曜版に連載されていたものを収録)

生命保険のカラクリ、不動産投資(特に、日本人の持ち家志向)の不思議さ、教育を始めとした、あらゆる現行制度の歪みといった問題について、読者である我々が、考え直すきっかけを与えてくれる。彼の主張は常に冷静で、ある意味「身も蓋もない」といった類のものだが、きちんと考えられた末の発言ゆえ、納得せざるを得ない。

例えば著者は、ヘーゲルの「人は常に他者の承認を求めて生きている」という言葉を引き合いに出して、こう語る。

(風俗業や高利貸しといった)儲かる商売に参入者が少ないのは、それが他者の承認を得られない汚れ仕事と見なされているからだ。

あるいは、住宅ローン(借金)を借りるというのは、未来へのタイムマシンに乗ることであり、ローンの金利とは、そのタイムマシンの乗車賃だと言う。言い得て妙ではないか。すなわち、「金で時間を買うことをファイナンスと言う」わけだ。

現在の日本の姿と、避けられない「衰退した未来」を見つめる姿勢は、クールとかシニカルとかいうよりは、むしろ「憐れみ」を感じさせる。彼の主義主張にかかわらず、恐らくは彼もこの国を愛しているのだろう。

老後資金だの資産運用だのを考える前に、自分の頭を使うべきことに気づかされる一冊である。

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受信: 2005.04.04 17:52

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