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「こころ」

夏目漱石「こころ」(ちくま文庫版全集第8巻所収)を読んだ。

「こころ」を読んだのは、何回目だろう? 最初に読んだのは、確か中学生の頃だったと思うのだが、その後も、折に触れて読み返している。もっとも、前回読んだのは、恐らく15年ぐらい前のことだとは思うが・・・

それにしても、「こころ」は見事な作品だった。

冒頭からいくつもの謎を提示しつつ、伏線を張り巡らせる緻密さ。語り手が語る「先生」の謎が、後半「先生の手紙」という形式で、一気に明らかにされるカタルシス。そして同時に、漱石終生のテーマである「エゴイズム」の追求がもたらす悲劇的な結末。小説としての面白さと共に、何度もの再読に耐えうる、多面性と深みがある。

今回読んでみて、改めていろいろな箇所で心を動かされたりしたのだが、特に圧巻だったのは、やはりKの自殺シーンだった。Kの自殺を目撃した「先生」は、遺体の枕頭にあった遺書を真っ先に読んだ:

私はちょっと目を通しただけで、まず助かったと思いました。

恐らくはその死の原因が自分にあると分かっているがために、何よりも先に遺書を読んでしまう。そして、ショッキングな死の現場にいながら、遺書の内容にほっと安堵する彼の姿に、僕は慄然としつつも、その心情を理解しそうになるのだ。自分もきっと、同じ行動を取ってしまうに違いないと思って。

あと何回、「こころ」を読み返せるか分からないが、これからも数年毎には手に取ってみたいものだと思っている。

作中で、最初に読んだ時から、ずぅっと印象に残っている言葉がある。

「精神的に向上心のないものは、馬鹿だ」

これからも、忘れずにいよう。

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コメント

こういう断言口調は漱石の真骨頂ですね(笑)
私には「恋は罪悪ですよ、よござんすか。そうして神聖なものですよ」というのが強烈に印象に残っています。
そのうちまた読み返してみます。

投稿: kiku | 2005.02.18 20:30

kikuさん、コメントありがとうございます。

久方ぶりに読み返してみると、忘れていた箇所も多かった一方、鮮烈に記憶に残っている文章もあったりして、面白く再読できましたね。

この後、小品集を挟んで、ようやく「明暗」です。

投稿: yuji | 2005.02.19 00:14

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