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「思い出す事など」

「思い出す事など」(ちくま文庫版全集第7巻所収)を読んだ。

解説によれば、明治43年6月に「門」を脱稿した漱石は、その年の8月に、胃潰瘍の静養のため修善寺に赴くが、そこで大吐血をしてしまう。一時はその命さえ危ぶまれたのだが、なんとか持ちこたえ、10月には修善寺を離れて帰京、入院となったのだった。この「思い出す事など」は、主にその修善寺での静養生活と、吐血前後の模様、そして恢復期の思索等を綴った随筆である。

随筆であるし、自分自身の病気を扱ったものであるので、少なくとも愉快な読み物ではないが、例によって漱石らしい、飄々としたユーモアが随所に散りばめられた佳品である。

死の淵から生還した人間らしく、生きて創作できる喜びを改めて噛みしめるような文章も、見受けられる。

病中に得た句と詩は、退屈を紛らすため、閑に強いられた仕事ではない。(中略)吾ともなく興の起るのがすでに嬉しい。その興を捉えて横に咬み竪に砕いて、これを句なり詩なりに仕立上げる順序過程がまた嬉しい。ようやく成った暁には、形のない趣を判然と眼の前に創造したような心持がしてさらに嬉しい。

各章の終わり毎に、自作の俳句や漢詩が紹介されている。余談であるが、漢詩はいつか改めて勉強してみたいと思っている。白文をすらすら読めたりするのみならず、自らも詩作できたら、さぞかし気持ちよかろうと想像している。

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年末年始の時間のあるときは夏目漱石とか谷崎の『細雪』とかヘミングウェイの『海流の中の島々』等の長編を読むことが多いのだけど近年忙しくなかなかそうもいかない。『海... [続きを読む]

受信: 2004.12.25 22:50

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