« 「不要論」不要論 | トップページ | 「聖なる嘘つき~その名はジェイコブ」 »

「合成怪物の逆しゅう」

合成怪物の逆しゅう(冒険ファンタジー名作選 17)
レイモンド・F.ジョーンズ作・半田倹一訳・山田卓司絵

何度か書いたが、「SFこども図書館」(岩崎書店)のラインアップ中、最も復刊の希望が多かった「合成脳のはんらん」が、「合成怪物の逆しゅう」として復刊された。

復刊ドットコムに寄せられたコメントを見ると、「これぞトラウマSF!」みたいなのが多いのだが、SF作家・大森望も、同じような趣旨で一文をものしている。(「地上でもっとも凶々しいSF」 ただし、思い切りネタバレなので、ご注意あれ)

この作品、僕自身は今回が初読であったわけだが、いやぁ、いいんすか、こんな作品子供向けに出版して?(汗)

超能力部隊」もそうだったが、原作は基本的に子供の読者など想定していないわけだが、それでもジュブナイル化担当者が、作品の持つ凶暴さや禍々しさを手加減することなく残したのは、賞賛に値する。

肝心のストーリーだが、基本の設定からして驚愕ものなので、ここでは触れずにおく。興味のある方は、なんとか入手して読んで戴きたい。

読んでみて、これは「1984年」的世界を、別の面から描いたのではないかと思った。あるいは、「マトリックス」的世界の先駆、とでも言えるか。いずれにせよ、「トラウマSF」と呼ばれるに相応しい名作である。

「命の大切さ」や「友情の尊さ」、あるいは「愛と勇気と冒険」みたいな、今時の大人にウケがいい作品ばかりが、子供向けに出版される中、このシリーズは異彩を放っている。しかし、こういう作品群こそ、真のエンターテインメントだろう。「子供向けらしいから」と勘違いして、図書館にセットで揃えてくれる小学校が、一つでも多くありますように(笑)

|

« 「不要論」不要論 | トップページ | 「聖なる嘘つき~その名はジェイコブ」 »

「書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

原作は
http://www.ioffer.com/i/CYBERNETIC-BRAINS-Raymond-F.-Jones-Avalon-1962-Mint-DJ-4330506
ただし、この小説は1950年に短編として書かれたものを長くしたものらしいです。
1950年というとアメリカでは赤狩りが行われて思想統制されているという雰囲気が漂っていたので、それがこの作品の気分のベースになっているのではないかと思います。

投稿: GreenThumb | 2004.11.27 08:33

GreenTumbさん(素敵なハンドルですね!)、コメントありがとうございます。
原作に関する情報、ありがとうございました。なるほど、赤狩り当時のアメリカが、あの作品の背景にあったわけですね。通りで国家が悪者になってるわけだ。やはり作品の書かれた時代と背景を知っていると、より面白く読めますね。

投稿: yuji | 2004.11.27 20:34

初めまして!
ちょうど、『合成怪物の逆しゅう』を記事にして、検索したところ、こちらの記事を見つけ、感動しています!

「良い」「悪い」は解りませんが、このシリーズが私に与えた影響は測り知れません。
学校の推薦図書では、「感想文」が書けなくて困りました。
勘違い小学校がたくさんあって欲しいですね。(笑)

投稿: とし | 2005.01.16 16:20

としさん、コメント&トラックバックありがとう。

小学校の図書館で購入しているところ、実際にはどのくらいあるんでしょうね(笑)

そちらのblogにも足跡残しておきました!

投稿: yuji | 2005.01.22 15:32

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/15752/2080659

この記事へのトラックバック一覧です: 「合成怪物の逆しゅう」:

» 『合成怪物の逆しゅう』 [T-LOOK Studio Black Blog]
私は今、モーレツに感動しています。 苦節20数年、求め続けた本をここにようやく手 [続きを読む]

受信: 2005.01.16 16:21

« 「不要論」不要論 | トップページ | 「聖なる嘘つき~その名はジェイコブ」 »