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「三四郎」

「三四郎」(ちくま文庫版全集第5巻所収)読了。

進学のため、田舎から東京に出てきた純朴な学生、小川三四郎君の初恋物語である。以上。

・・・ではない、もちろん。

「虞美人草」あたりと比べると、登場人物の造形が、格段に良くなっている。いわゆる「キャラ立ち抜群」ってやつでしょうか(違) 三四郎君の純情さや鈍感さ、あれこれぐじぐじと思い悩む姿なんか、誰でも多少は共感できる部分があるんじゃなかろうか。

何事にも達観している広田先生とか、景気よくそこら中に迷惑をかけて回る佐々木与次郎君とか、三四郎の憧れの対象にして、妙に博識の美禰子(「ころもへん」ではなく、「しめすへん」。漢字が出ない)さんとか、それぞれの描き分けがうまい。

そう大した事件が起きるわけでもないのだが、上京したての一学生が、次々に新しい事物・人間・思想に出会い、淡い恋をしてそれを失うという物語は、つまりはビルドゥングス・ロマンということなのだろう。

いつの世の学生達にも、深い共感をもって読まれる・・・かなぁ。ケータイとゲームとバイトの日々を送っているように見える今の学生が、この本を読んでどんな感想を持つのか、少々興味があるような、ないような。

余談だが、本作の冒頭、三四郎が列車で上京してくる場面で、食べ終えた弁当やらなにやら、ゴミをほいほい車窓から投げ捨てるシーンが出てくる。当時は当然のことだったんだろうが、今読むと、非常に不快である。時代の変化は、いろんなところに現れる。

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コメント

こんにちは。
yujiさんはいろいろな趣味をお持ちですね。
本もさまざまな分野を読まれていて、いつも記事を拝見して驚いております。
私も夏目漱石は好きです。
最近はあまり読むこともなかったのですが、こちらの記事を拝見して『三四郎』を再読しています。
漱石の文章は短文で読みやすい、でも、深くて共感することが多いなと改めて思います。
いつの時代にも東京にはストレイシープがいるのだなと感じています。では、また!

投稿: chiiko | 2004.07.21 14:06

chiikoさん、コメントありがとうございます!
本は好きで良く読むほうなんですが、他のblogを見ていると、みなさん、難しい本を沢山読んでらっしゃるので、感心しまくりです。
「三四郎」を再読されているとは、なんだかうれしいですね。是非感想を聞かせてくださいね。
そうそう、「ストレイシープ」、上の記事中でも触れたかったのですが、うまく文章に出来ずじまいでした・・・

投稿: yuji | 2004.07.21 20:23

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