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2004年6月

共同通信vsライブドア?

普段なら、ここで取り上げる種類の話題ではないんだが、以前ライブドア・堀江社長の著書を紹介したことでもあるので、備忘録的に書いておく。あ、タイトルで釣られた方、すいません。大したことは書いてないです。

既に現場はお祭り状態になっているが、「署名で書く記者の「ニュース日記」」(共同通信編集委員室のサイト「CH-K」編集日記 ブログ版)というblogの6月26日付エントリーで、小池新なる編集長が、突然ライブドアの堀江社長を「スノッブ呼ばわり」したのが始まり。小池編集長は、その翌日にも、読者からのトラックバックに寄せる形で、さらに批判的な記事を書いた。

批判された側の堀江社長だが、自己のblogにて、「スノッブなんて言われたの初めてだ、わーい」(←意訳)といった、ブロガー的に正しい反応を示しているのが余裕である。

この種の「祭り」にありがちなのだが、双方のコメント欄は大変なことになっていて、特に小池編集長側のコメント欄は、「てめー、俺らのたかぽん(堀江社長の愛称?)にイチャモン付けるたぁ、いい度胸だ」的批判に溢れている。

ま、野次馬的に傍観してる分には、そこそこ面白い。ただ、僕個人としては、やはりこれは小池編集長なる人物の、成功したITベンチャー経営者に対する、「ねたみ、そねみ、やっかみ」全開の、「ためにする」批判にしか読めない。凄まじい数のコメントが付いてるにもかかわらず、それらには一切答えないというのも、blogというメディア(あえてこう呼ぶ)を使って情報発信しているにしては、「わかってない」感じである。

笑えるのは、共同通信のそのblogが、Livedoor Blogだったりすることで、コメントにもあったが、「アクセス数稼ぎのネタか?」と思えなくもない。それと、その記事に至るまでの間、どの記事にもほとんどコメントもトラックバックも無いというあたり、なんとなく現在のマスコミと我々大衆(民衆? 市民? 消費者? いい呼称が思いつかない)との意識の乖離を象徴しているようで、感慨深いものがある。どなたかこのネタで、建設的なメディア論でも書いてみてはいかがか←自分でやれよ

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房総小旅行

房総へ遊びに行ってきた。

先日、北海道へ行って来たばかりなのだが、あっちは「宿六亭主ども」の集まりであって、こっちはれっきとした家族サービスである。威張ることではないが(汗)

銚子方面へドライブしたのだが、家内の家族も一緒だったゆえ、スケジュールにも余裕を持たせ、のんびりとした旅行となった。犬吠埼まで出かけて、そこで一泊。翌日もその周辺をうろうろしつつ、早めに帰宅という、北海道の質実剛健ツアーとは正反対の旅行であった。

犬吠埼といえば灯台だが、今でもちゃんと現役らしく、夜間、沖を照らす灯台の光が、泊まった宿からも良く見えた。もちろん、実際の航行は、GPSやらなんとか無線やらによっているようだが、やはり岬の灯台に光が灯っているというのは、ロマンチックでもあり、沖をゆく船にすれば、心強いものがあるんじゃないかと思う。

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天気予報では雨だったのだが、今回もしっかりはずれて(笑)、時折晴れ間の差す好天となったため、銚子電鉄なんぞにも乗ってみた。

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この電車、一日に何本か運行しているという「澪つくし号」だそうだ。写真では良くわからないが、後部車両がオープン車になっている。ネーミングはさすがにどうかと思うが、電車のオープン遊覧車というのは、なかなか気持ちの良いものであった。

ちなみに、宿泊したのは犬吠埼観光ホテルという、いかにもありがちな感じの観光旅館だが、見かけこそ少々くたびれてはいるものの、中の設備やサービス、それに料理はしっかりしていて、結構おすすめである。今時、そうそう大勢の観光客が訪れるとは思えないが、営業努力の跡が伺えて、好印象であった。

近場とはいえ、それなりに楽しめる場所というのは、案外あるものだ。

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「黄金旅風」

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飯島和一「黄金旅風」を読んだ。

1988年のデビュー作「汝ふたたび故郷へ帰れず」以来、この作品がまだ長編5作目という、超寡作家であるが、一つ一つの作品の重厚さは半端ではない。読んでるほうも、あまりの筆力に圧倒されまくりである。

で、この「黄金旅風」だが、江戸時代初期の長崎を舞台に、二人の男の物語を中心に、国際都市・長崎の様子、切支丹弾圧の模様、幕府や諸国大名の野心、当時の東アジア海域での勢力争い等々が、一大絵巻のように描かれていく。

彼の作品に共通して登場するのに、腐敗した時の権力に対して、空想的な抗議行動などではなく、己のスキルを最大限に生かすことで、立ち向かっていく庶民というのがある。そういった人物は、「雷電本紀」では相撲取りであり、金物商いであり、「始祖鳥記」では表具師であり、塩問屋であり、船乗りであり、「黄金旅風」では、火消しであり、鋳物師であったりするわけだ。

己の為すべきことを見極め、余計な野心など抱かずに、スキルを磨き続けることの大切さ。翻って、自らの、人間としての矮小さを隠蔽するがごとくに、「大義」を振りかざす「権力」に対しては、こんな文章が出てくる。

和国日本やら、江戸幕府やら、何にせよ大げさな大義などというものを平左衛門は持ち合わせてはいない。むしろ平左衛門は、馬鹿げた大義には憎しみに似た感情すら抱いている。大愚を行う者は必ず大義を振りかざし、結果最も弱き者が悲惨を見ることとなる。

もう一つ、引用しよう。

将軍の政治目的がまず先行し、それに合わせて法を解釈するようなことは、何よりも幕府法の失墜と政(まつりごと)の腐敗とを招く。

優れた小説は、巧まずして、優れた警世の書となりうる、と思う。

私見では、やはり最高傑作は「始祖鳥記」であろう。興味のある方は、まずこちらから読むことをおすすめする。

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大空港'04

前の記事に書いた、千歳空港でのドタバタのことを、もう少し。

実際に欠航の案内があったのは、我々がチェックインしてから、20分後ぐらいのことだった。その時我々は、土産など物色していたのだが、空港内アナウンスと同時に、直ちに行動開始。といっても、旅慣れない僕は荷物の番をして、友人二名がキャンセル待ちの用紙を入手してきたのだった。

手に入れたキャンセル待ち券は、カテゴリーBの500番あたり。カテゴリーAというのが、正規運賃のチケットを持っているお客で、およそ100名程度。我々のようにツアーに乗っかってる客は、カテゴリーBというわけだ。

出航できるフライトの、搭乗が締め切られた時点で、その機の空席に合わせて、キャンセル待ちの客が、番号を呼ばれる。我々のカテB500番というのは、少々微妙な順番だった。

その日のフライトに乗れないことを想定して、千歳市内での宿泊先を確認。混んではいるようだが、なんとか泊まれそうだ。

夜8時頃、欠航した便から数えて三つ目のフライトで、なんとか呼び出しがかかった。番号が多かった割には、呼ばれるのが早く、一安心。但し、そのフライトは条件付きで、「天候その他の理由により、羽田に着陸できない場合は、成田もしくは関西空港に行く可能性がある」とのことだった。

成田なら、まぁ、なんとかなりそうだが、関空ってのはさすがにヤバイ(汗) 次の日に何も用事が無ければ、関空ってのも、ネタ的にかなり面白いのだが、そうも言ってられない。られないが、ま、しょうがない、行くっきゃないんである。

で、満員の機内に乗り込み、三人がけの真ん中の席で小さくなっていると、機長からアナウンス:「当機は、羽田以外の空港へ向かう場合があります。ただ、わたくし個人的には、問題なく羽田に着陸できるものと思っています」 ・・・個人的には、ねぇ(苦笑) それを聞いて、機内には力無い笑いが充満したのであった。

でまぁ、機長の宣言通り、無事に羽田に到着。とはいえ、既に10時を回っており、なんとか家に帰り着いた頃には、もちろん日付は変わっていたのだった。

教訓1:キャンセル待ちはお早めに。
教訓2:空港で一番偉いのは、正規運賃チケットの持ち主である。

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北海道質実剛健ツアー

北海道へ遊びに行ってきた。

僕と悪友二名の計三人で、毎年この時期になると、北海道へ遊びに行くことにしているのだ。今年でもう5回目になる。実はこの時期、知る人ぞ知るだが、ゴルフパックが格安なんである。

今回選んだのは、近ツリのツアーなのだが、曜日によって違いはあるものの、まあ、割安ではある。基本パターンは、「一泊二日、往復航空運賃、宿泊費、ゴルフ2プレー(グリーンフィーのみ)」という、スパルタンというか、貧乏臭いというか、質実剛健なツアーだ。

日曜早朝の飛行機に乗り、千歳空港から、すぐに送迎バスでワシントンクラブ札幌ゴルフコースへ。山岳コースとは聞いていたが、およそ北海道らしからぬ、狭っ苦しいコースで、OBだのワンペナだのを連発して、54、46の100。さすがに格安ツアーに選ばれるコースだけのことはある(笑)

スルーで回って、夕方プレーを終え、送迎バスにて札幌市内のホテルへ移動。すすきのの南はずれにある、小振りだが、清潔でしっかりした感じのホテルだった。そのまますすきのへ繰り出し、大いに飲み食いし、早めにホテルへ引きあげ、早めに就寝。

翌早朝、次のプレー場所であるテイネオリンピアゴルフクラブから来た迎えのバスに乗り、コースへ。ここも山の中腹にある山岳コース。すぐ隣の山は、スキー場だったりする(笑)  しかし、前日のワシントンクラブよりは、はるかに巧く作られており、広々とした感じで、気分良くプレーできた。

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↑こんな感じ。

はるか眼下には、石狩湾が望めたりなんかして、眺望もすこぶる宜しい。いくつか、無理矢理造成したようなホールもあったが、お値段からすれば、まあ妥当だろう。パットが入らないのには難儀したが、51、47の98と、辛うじて90台。ま、いつも通りである。

心配していた雨にも降られず、無事に二日間の行程を終えた我々は、夕刻、送迎バスにて千歳空港へ到着。そこで、気分上々の我々を待っていたのは、なんと台風6号による、「予定便欠航」のニュースだった。

翌日のスケジュール(午前中会議、午後取引先と打合せ)を思い浮かべ、一瞬パニックに陥った僕であったが、出張慣れした友人達が、あれこれと立ち回ってくれて、なんとかその日のうちに帰ってくることができた。まったく、持つべきものは友人である。

しかし、タフでハードなこのツアーも、さすがに体力的に辛くなってきた。来年はもうちょっと奮発して、二泊三日にしたいもんである←セコっ

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「100億稼ぐ仕事術」

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100億稼ぐ仕事術」を読んだ。

いわゆるネットベンチャーの雄である、ライブドア社長堀江貴文のハウツー・サクセス本である。タイトルの清々しいまでのストレートさに惹かれて(笑)、ついつい読んでしまった。

本書の冒頭に、「自分は一日5.000通のメールを処理している」とある。「処理」という言い回しが微妙だが、意地悪く検証してみよう。

とりあえず「処理」の定義を「ざっと目を通して、そのメールの要不要を判断する」としておこうか。仮に一通の処理に10秒かかるとすると、1分で6通処理できる。とすると、1時間で360通だから、5,000通処理するには、14時間弱かかることになる。著者自身が、どのくらいの時間をメール処理に費やせるのか分からないが、本人のblogを読むと、日々移動やら打合せやらワークアウトやらで多忙らしいから、さすがに14時間は無理だろう。

では、処理スピードを上げてみよう。仮に一通3秒で処理できるとすると、1分で20通、1時間で1,200通。よって、約4時間強あれば、無事5,000通処理できることになる。

重箱の隅をつつき回してきたが、別に僕は、「一日5,000通」を信用しないわけではない。「本当かよ?」と思ったら、ちゃんと検証すべきだと思ったので、そうしたまでだ。

で、まあ、この本の感想だが、要するにこのメール処理の凄まじさでも分かる通り、「事業を興して成功させるのに必要なのは、集中力とスピードだ」ということに尽きると思う。

真似が出来そうで出来ないあたり、「ハウツー・サクセス本」の王道を踏まえている(笑)  まあでも、読みやすいし、それほど嫌味な感じも受けない、気持ちのいい本ではあった。これから起業を志す人であれば、読んで損は無いと思う。既に事業を継続している人は・・・負けないように頑張るしかないっすね>自分

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本日のお買い物

注文していたCDが届いたという連絡があったので、早めに退社して、山野へ。

今回注文したのは、ガーディナー指揮の「フォーレ/レクイエム、他」。もっとも、お目当てはフォーレではなくて、このディスクに収録されている、ドビュッシーの「シャルル・ドルレアンによる3つの歌」である。

吉田秀和「LP300選(名曲300選)」で、ドビュッシーの項にこの曲が紹介されているのだが、今日に至るまで、聴いたことがなかったのだ。

今も、その曲を流しながらこれを書いているんだが、短い三曲とも、実に美しい。吉田秀和によれば、「古い合唱シャンソンの形に則った、近代ではほかにちょっと比較するものの考えられない逸品」ということになる。

このディスクに収められているドビュッシーの曲はこれだけで、トータル6分ほどの曲のために、CDを買ってしまったわけだが、他の曲も、みなそれぞれ合唱に特徴があって、聴いていて楽しいから、まあ、損した気分にはならないでいる。看板の「レクイエム」も、小編成のオリジナル版を使用しているということで、さらっと聴いた限りでは、素朴な味わいと力強さに満ちているように感じる。まずまずの買い物だった。

一緒に買ったのは、ラック(餌箱とか言うんだっけ?)で見つけた、ラヴェル「スペインの時」(プレヴィン指揮、ロンドン交響楽団)  そう、来月からは「ラヴェル月間」になる予定なので、ネタの仕入れである(笑)

余談だが、山野のポイントが貯まっていたので、3,000円分はポイントで支払い。ネットショップより還元率がいいので、欲しいCDがある時は、あえてネットで注文せずに、お店に注文しているのだ。我ながら、涙ぐましい慎ましさである。

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スキン変更挫折

ふと、スキン変更を思い立った。

で、テンプレートの変更なんぞを試してみたのだが、いやはや、なんだかエライことになって、余計見にくくなってしまったので、5分で元に戻してしまった。(もし、変更スキンを目撃された方は、その5分間に来たことになる。レアでっせ←無意味だが)

なんつーか、シンプルかつ美しく、それでいてリンクだのなんだのがちゃんと表示されている、ってなスキン(スタイルシートって言うのか?)ができないもんだろうか。勉強しろよ、って感じだが。

慌ててトライしても、ロクな結果にならないことだけは分かったので、しばらくは触らずにおこう。とりあえず、夏休みの宿題ってことで。

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オマケ到着

この記事で書いた、「三枚買って一枚もらおう」キャンペーンに応募して、オマケの一枚が届いた。

あれこれ考えたんだが、結局、LPでしか持っていなかった、チック・コリア=ゲーリー・バートン「クリスタル・サイレンス」にしたのだった。

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本当に久しぶりに聴いたが、うーん、やはりこれは名盤であるなぁ。チック・コリアの、叙情味溢れるピアノも美しいが、改めて聴いてみると、ゲーリー・バートンの知的なプレイが印象に残る。

うーんと昔、家族が出かけていない休日に、彼女を呼んだ時、このLPをかけて、二人で静かに本を読んだのを思い出した。あの頃は、それで充分楽しかったのだ。

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インド戦雑感

日本 7-0 インド

とりあえず順当ってことで、良かったんじゃなかろうか←やる気ナシモード

圧勝ではあったけれど、なんかもう一つ、燃え上がるものがなかったのは、やはり先日のイングランド戦を観てしまった故であろう。やっぱり、相手もある程度強くないと、試合が締まらないんだよなぁ。

もっとも、専守防衛のインドから、きっちりと先取点を奪った久保は偉い。三都主から、ピンポイントのパスだったとはいえ、背後からのボールをジャンピングボレーだなんて、相変わらずの超人ゴールである。二点目となる、福西へのヘッドの折り返しなんざ、相手DFより丸々上半身分高くジャンプしてたし。

やはり、決めるべき時に決めることで、チームに余裕が生まれ、それがさらにゴールを呼ぶという、好循環に入るのだろう。大量得点、そして無失点で勝ち点3ゲットというのは、とても良い結果だったと思う。

さて、結果はオーライとしても、気に入らない点が二つほど。

まず、三都主だが、格下相手とはいえ、いや、格下相手だからこそ、ああいうプレー振りは見ていてあまり気持ちよくない。毎回ボールを止めて、いちいち相手を愚弄するかのように、テクニックで抜き去るというのが、真の強者のやることだろうか。久保への一点目のように、手数をかけずに、愚直に正確なクロスを上げ続けることでこそ、自らのスキルが証明できると思うのだが。

それと、これはたぶんあちこちで疑問が呈されるであろう、4バックへのシフト。4点差(だったよな?)になって、ほぼ安全圏に入ってから、4バックを試すことに、どんな意味があるのだろう? 4バックに変えてから、しっかりとミドルを打たれ、立て続けにCKを取られてしまったことは、きちんと検証されねばならないと思う。

そういえば、後半に入ってから交代するまで、伸二がほとんど消えていたのも気になる。ワンサイドのゲームだったので、悪夢のフィリピン戦を思い出して、プレーが消極的だったんだろうか。ただ、テレビ画面で見ていても、後半はなんとなくつまらなそうにプレーしていたように見えたのが、少々気がかりではある。

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「坑夫」

「坑夫」(ちくま文庫版全集第4巻所収)読了。

以前、村上春樹「海辺のカフカ」を読んだ時に、田村カフカ君がこの「坑夫」を読んで、大島さんと印象を語り合う場面があって、それがずーっと記憶の片隅に残っていた。(その時点で、僕はまだ「坑夫」を読んだことがなかった)

で、その「坑夫」である。

確かに不思議な作品だ。主人公の一人称で語られる物語は、陰惨な内容とは裏腹に、まるで「坊っちゃん」のように飄々としている。「~だったんである」なんて語り口で、生き地獄のような鉱山の模様を語られたって、ちっとも深刻に聞こえないってなもんだ。

それでも、この「坑夫」という作品は、僕にはとても印象的に思えた。そう、カフカ君や大島さんにとってそうであったように。

深刻さの無い語り口でありながら、鉱山長屋の薄暗さ、坑夫たちの顔色の悪さ、南京米の不味さ、湿った布団の不快さ、そして坑道内の暗さ、水の冷たさ、空気の薄さ、そんなものが伝わってくるように思えるのだ。(解説では「つくりものという観をまぬがれない」とばっさり評されているが)

鉱山(銅山)に象徴される社会の不条理や、そういう境遇を甘んじて受け入れる人間の強さや弱さ。そういうったものを描き込めば、現代的なルポルタージュか、一種の社会派小説にも成り得た作品なのだと思う。そんな、漱石自身の足腰の定まらなさが、結果としてこの作品の評価を、あいまいなものにしてしまっているのかもしれない。

吉村昭の「高熱隧道」を、坑夫側から描いたら、もしかしたらこんな話になるのかもしれない、などと思ったのだった。

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秋吉敏子

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NHK教育テレビの、「人間講座・秋吉敏子」という番組を見てみた。

秋吉敏子本人が、テレビカメラに向かって、自身の生い立ちや経歴について喋るという、ごくごくシンプルな作りの番組である。今回(6月7日)が初回で、以後、全8回の放送とのことだ。

学生時代、ジャズにはまっていた頃に聴いた、トシコ=タバキン・ビッグバンドの印象は強烈だった。日本的なメロディー、スピード感溢れるスイング、精緻なアンサンブル・・・どのアルバムも好きだったが、特に気に入っていたのは、やはり「孤軍」だ。

中でも、「メモリー」と「孤軍」は、今でも時々聴いている。特に「メモリー」は、むしろこちらが「孤軍」なのではないかと思えるほどの、緊迫感と寂寥感に満ちた傑作だと思う。

アルバムとしての完成度では、たぶん「インサイツ」がベストだろう。だが、ちょっと落ち込んだ時などには、僕はやはり「孤軍」を聴く。


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「虞美人草」

「虞美人草」(ちくま文庫版全集第4巻所収)を読んだ。

恥ずかしながら、この作品も初読だったのだが、この小説に対して今までに抱いていたイメージが、まるで勘違いだったのが分かった。

「二百十日」を連想させる冒頭から始まり、大きく三つの流れが平行して語られる。少しずつ登場人物の輪郭が明確になるにつれ、話の筋そのものもはっきりしてくるのだが、地の文のくどいばかりの美文調といい、展開の遅さといい、読むのにやたらと時間がかかってしまった。

少々類型的な人物の造形や、いささか旧弊な価値観によった、勧善懲悪とも読めるような筋立て等、やはり習作の域を出ていないのかもしれない。とはいえ、後の大作群に共通する「エゴイズム」というテーマは、既にここでもはっきりと提示されている。

正直、かなり退屈なストーリーではあったが、終盤の大団円に向けての展開は、なかなかスリリング。やや強引な解決には、さすがに疑問が残るが、少々シニカルな最後の一行が、思いがけない余韻を残す。

解説によれば、ここまでの作品で見せた、美文調の語りの集成であると同時に、以後の「文豪」への出発点になる作品とのことだ。ここから先の作品群を読むのが楽しみになってきた。

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「幸福」の幸福

浅草へ行って来た。

友人達との集まりがあったのだが、幹事役のTさんが個人的に知っているという、浅草の焼肉屋さんが今回の会場であった。

久しぶりの浅草だった。

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少し早めに着いたので、目的地周辺をうろうろ。花やしきなんかも見つけてしまった。

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さて、今回行った焼肉屋さん、その名もずばり「幸福」である。

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全然知らなかったのだが、浅草って、焼肉屋エリアとして、結構有名らしい。このお店の近くだけでも、あちらこちらに焼肉屋の看板が出ていた。

ここのお店、外から見ると、煙充満のストロングスタイルに見えてしまうが、実際は無煙ロースターで、とってもクリーン。そのせいか、お客さんにも、女性の姿が多い。

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メニューは至って正統派だが、たとえば写真のカルビ(上と並)など、肉に厚みがあって、柔らかくて美味しい。キムチ類だと、ニラキムチというのが程良い酸味で、ビールのお供に最高。店名通り、幸福な一夕を過ごしたのであった。

みんなしてガシガシと肉中心に食べたのだが、さすがに翌日は胃がもたれて難儀した。歳を考えて食べるように>自分

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イングランド戦雑感

日本 1-1 イングランド

伸二、ナイスゴール! いやぁ、早起きして観た甲斐があった(嬉)

ほぼベストメンバーで臨んだイングランドは、立ち上がりから本気モード。強くて早いボール回し、ボールホルダーへの積極的なアタック、大きなサイドチェンジ、素早い攻守の切り替え・・・もう、惚れ惚れするような展開だった。

日本は完全に受けに回ってしまい、防戦一方。そのうち、ランバート(かな?)に強烈なミドルを打たれ、それを楢崎が前にこぼしたところを、オーウェンに決められてしまう。しかし、最初のシュートも低くて強いし、オーウェンの詰めも素早かった。感心。その後、日本もやや持ち直しつつ、前半終了。

後半に入って、やはり立ち上がりは押し込まれるが、ここを守りきったことで、試合が落ち着いてきた。イングランドも、なんとなくこのままリードしてればいいや・・・みたいなムードになったのだかどうだか、中盤でのプレッシャーがやや甘くなる。そこで、フリーでボールを受けた俊輔から、縦に抜けたサントスに見事なスルーパス。受けたサントスが、思い切り良くゴール前にいた伸二にラストパスを出し、これを伸二が見事にダイレクトでシュート! GKの足下を抜けて、同点。この一連のシーンには、文字通り鳥肌が立った。

同点にしてからは、双方互角の戦いになったと思う。日本も積極性を取り戻し、惜しいシーンもいくつか作り出せた。どうせなら、一度は逆転して欲しかったが、欲を言えばきりがない。

アイスランド戦での問題児コンビ(笑)、俊輔とサントスの活躍で得点したわけだから、二人を使い続けたジーコは鼻高々だろう。しかし、あのシーン以外では、相変わらず二人のところでスピードダウンしてしまうわけで(得点シーンでは、二人とも判断に迷いが無かった)、もう少しなんとかならんかなぁ、と思ってしまう。

ともあれ、引き締まったいい内容の試合だったと思う。しかし、このメンバーでインド戦ってのは、町のチンピラ相手に、正規軍一個連隊をもって向かうに等しいのではなかろうか←暴言

****************

追記 イングランドの得点シーン、シュート打ったのはランバードじゃなくてジェラードだった。今さらどうでもいいような気もするが、とりあえず誤記につき訂正しておく。

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検索ワードランキング(5月度)

5月度の検索ワードランキングは、以下の通り。

第一位 「ドビュッシー」
第二位 「髭剃り」
第三位 「砂の器」

第一位の「ドビュッシー」は、先月二位。なんでこれが上位なのか、相変わらず良くわからない。もっとも、自分自身も、作曲家名をキーワードにして検索したりとかするから、その系統はヒット率高いのかもしれない。

第二位の「髭剃り」は、アクセス解析開始以来、不動のトップ3である。相変わらず、一本記事を書いたきりなので、検索された方の中には、「ちっ、ここは前も読んだじゃねーか」とか思った人も多いことだろう。ごめん>該当者

第三位「砂の器」は、上位復活。ドラマも終わったし、このまま検索数減るかと思ったんだが。

ちなみに、先月驚異的な検索数だった「草枕」は、第四位。4月末から5月頭の短期間に集中的に検索されていたので、やはり高校の読書感想文のテーマかなんかだったのか。第五位は「野分」だったし。

あと、訪問元に関しては、classicaさん経由が圧倒的に多い。さすが300万アクセス(今はもっと多いか)の有名サイトである。あちらのMyBlogListに加えて戴いた効果だが、クラヲタにしては、あまりにミーハーなので申し訳ないっす(陳謝)

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アイスランド戦雑感

チェコ戦に続いて、気持ちいい試合だった。(但し、前半のみ)

この試合、とにかく輝いていたのは、伸二と久保なのは間違いない。2得点の久保は、とにかく物凄い。得点シーンもさることながら、最初のシュートのシーンなんか、バックステップしながらダイレクトに、それもGKの逆サイドに蹴るという、野生というにはあまりにもテクニシャンな一撃だった。

伸二のプレイも芸術的で、中盤の底でやりたい放題。久保の2点目へのアシストシーンは、メインスタンド側からの画像だと「おお、ナイスパス」ぐらいにしか思わなかったのだが、真後ろのアングルからのリプレイを見ると、驚愕のひと言。相手サイドの左方向(玉田がいた方角)に体を向け、なおかつそちら方向へ右足を振り抜きつつ、実際はアウトサイドにかけて、右に飛び出した久保に渡すという離れ業。なるほど、あの時点で久保がフリーになれたのは、伸二の体勢と玉田の動きに、DFがみんなつられてしまったからだと分かる。

後半、3バックから4バックに変え、前のほうの選手が現及び元鹿島組になったわけだが、コンビネーション良くボールがつながったのは認めるとして、あれだけのチャンスを外し続けるってのは、やはり問題だろう。サントスも、4バックにした途端、機能しなくなってしまったし。

この試合の問題児は、まずは柳沢と俊輔。ちょっと辛めだけど、サントスと稲本ってとこか。サントス以外は、欧州の所属チームで、まったく出番がなかったわけだし、サントスにしても、レッズでは未だに調子が出ていない。次のイングランド戦はともかく、本番のインド戦は、どういうメンバーで臨むつもりなのだろう?

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