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「草枕」

漱石を読んでいる。

ちくま文庫版の全集を、ずいぶん前に揃えたのだが、ずぅっと本棚の飾りになっていたのを、今頃になって少しずつ読み始めたのだ。

先月、「坊っちゃん」を含む第二巻を読んだのだが、予想以上に面白く読めた。

で、第三巻だが、こちらには「草枕」、「二百十日」、「野分」の三編が収録されている。

「草枕」といえば、冒頭の「山路を登りながら、こう考えた。智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい」が思い浮かぶ。この一文が有名なので、なんだか全部読んだようなつもりになっていたが、作品全体としては、実は今回が初読である。

しかし、こんな話とは思わなかった。

筋らしい筋もなく、美麗なる文章で延々と東西の比較芸術論が述べられたかと思うと、漫談のような軽妙な掛け合いが出てきたりした挙げ句、唐突に物語は終わってしまう。

では、これがつまらないかといえば、そんなことはなく、場面場面の描写も素晴らしいし、文学・芸術におけるペダンティックな文章もまた楽しい。床屋の親爺や、寺の坊主などとの会話も、絶妙な味わいだ。

冒頭で主人公が独白する「非人情」という視点が、ヘミングウェイの「老人と海」や、チャンドラーなどのハードボイルドを連想させて、これもまた興味深い。

「二百十日」については、次の記事にて。

補記:「草枕」の舞台となった九州・小天温泉の記事があった。雪の九州温泉紀行(3)小天温泉

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