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「国のさゝやき」

新保祐司(祐の偏は「示」)「国のさゝやき」を読んだ。

もう一年以上前だろうか、確か川本三郎が、新聞のコラムでこの本を取り上げていた。シューリヒトに関するくだりを紹介した、その書評が気になって、本屋で探してみたところ、どこでも見つからない。八重洲のブックセンターでは、わざわざ書評の切り抜きがPOPとしてあしらわれ、そこに「入荷待ち」の紙が貼ってあった。結局、bk1で購入したのだった。

雑誌の連載をまとめたものらしいが、冒頭に本書のモチーフとなる、斉藤緑雨のアファリズムが紹介されている。

老いたるとなく若きとなく、男、女の胸のさゝやきの凝りたるもの、世々に流れて音楽とはなりけらし、音楽は即ち国のさゝやき也。彼れの曲と此れの歌と、強て東西の異るを綴り合せて、妖怪に似たる声をなすの音楽あるときは、妖怪に似たる声をなすの日本国なることを知るべし。

著者が専門とする日本近代文学の研究に、クラシック音楽への愛好を重ね合わせ、一種の時評を繰り広げている。やや懐古調であり、保守的でもあるが、深い思索に支えられたと思われる文章は、確かに刺激的である。

小林秀雄を参照し過ぎたり、現代の文明(あるいは日本文化)への批判が少々安直だったり、ちょっと気になるところもあるが、読んでいてとにかく面白かった。やっぱり、こういうのは多少偏りがあったほうが、楽しめる。

ところで、あとがきによると、本書上梓当時、著者はまだ49歳(!) 小林秀雄をまるで同時代人のように語る口振りから、てっきり戦中派だと思っていたが、1953年生まれだそうだ。確かに、シベリウスの生家を訪ねた際に、CDウォークマンで彼の第5シンフォニーを聴く場面があったりして、「やることが若いな~」とか思ったのだが、ほんとに若かったのね(汗)

シューリヒトのブルックナー、是非とも聴いてみないと!

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